この記事の要約
・webライティングとは、検索エンジンで上位表示されると同時に最後まで読んでもらうための工夫を盛り込んだライティング手法です
・webライティングの具体的な流れは「テーマ設定」「ペルソナ 設定」「設計」「執筆」「校正」です
・文章を書くことは、問いを立て、それに対して答えることです
・webライティングには最後まで読んでもらう工夫が必要です
webライティングの定義
webライティングという言葉は現在、さまざまな意味あいで使われており、決まった定義はまだありません。そのため、ここではざっくりと「webサイト上にある文章の書き方」ということにしておきます。
けれど、それではあまりにもざっくりしすぎていて、他のライティングとの違いがいまひとつみえてきません。そこで、まずは従来の紙メディアにおける文章との比較を通してwebライティングの特徴を浮かび上がらせてみたいと思います。
webライティングと従来の紙メディアにおける文章は、言葉によって意味を伝達するという点ではどちらも同じです。けれど、よくみるとそこには若干の違いが見えてきます。
その違いは、両者を代表する媒体であるwebサイトと書籍を対比するとわかりやすいかもしれません。以下、webサイトと書籍を比較してみます。
まず似ている点です。
似ている点
検索エンジン上にリストされている状態のwebサイトは本屋の書棚に並んでいる書籍と似ています。またそれに対するユーザーの態度もこれからどれを読もうかと品定めをしている点でよく似ています。
次に異なる点です。
異なる点
書籍は一度購入された後は、少々読み辛くても最後まで読んでもらえる可能性が高いです。というのも、お金を出した以上、元を取りたいという心理が働くからです。
一方、webサイトは書籍と異なり、途中で容易に離脱されやすいのが特徴です。なぜ離脱されやすいか、といえば、webサイト上の文章の多くが無料であり、そこには元を取ろうという意識が働かないからです。またネットユーザーの多くは情報を探すことが主目的であり、じっくり読み込むというより、複数のサイトを横断的に斜め読みする傾向があるからです。
こうした両者の似ている点、異なる点を考慮した上であらためてwebライティングを定義すると次のようになるでしょう。
webライティングとは、検索エンジンで上位表示されると同時に最後まで読んでもらうための工夫を盛り込んだライティング手法である、と。
こうしてみると、webライティングにおいて重要なのは、次の二点といえそうです。
・検索エンジンで上位表示されること
・離脱を防ぎ、最後まで読まれること
webライティングの書き方
このwebライティングですが、具体的にはどうやって書いたらよいのでしょうか?
webライティングを行う際の手順は一般的に次の通りです。
1、テーマ設定
2、ペルソナ設定
3、設計
4、執筆
5、推敲・校正
ここで重要なのは、執筆前の準備に十分な時間をかけることです。
目安としては、仮に10時間あるとしたらその時間配分は、準備に7時間、執筆に2時間、推敲・校正に1時間くらいが適切でしょう。
しかし、執筆そのものではなく、準備の方により多くの時間を割くのはなぜなのでしょうか?
理由は、執筆にかかる時間というのは、準備に時間をかければかけるほど短くて済むからです。
じつはライティングという作業において一番たいへんなのは執筆そのものではなく、その準備の方です。
これは料理にたとえるとわかりやすいかもしれません。手早く調理するコツは、まず第一に何を作るかをあらかじめ決めておくこと、次に適切な材料を揃えること、最後にそれらをあらかじめ下ごしらえしておくことです。それらができていれば、あとは下ごしらえした材料を煮るなり、焼くなりして一気に仕上げることができるからです。
けれど、そうした準備をおろそかにしたままいきなり料理を作ろうとしたら、これはたいへんです。そもそも何を作るかすら決まってないのですから、何を材料として選べばよいかわかりませんし、たとえ選んだとしてもどういう形に切ればよいかもわかりません。場合によっては必要な材料が揃わないため、メニューそのものを一から考え直さなければならない、という事態に陥ってしまう可能性さえあります。
ライティングも同じです。準備に十分な時間をかけないまま、いきなり書き始めてもたいてい途中で行き詰まってしまいます。材料がきちんと揃っているとはかぎりませんし、たとえ揃っていたとしても下ごしらえがいい加減なためそのままでは使えなかったりするからです。そうして、途中で一歩も先へ進めなくなるばかりか、結局、余計時間がかかることになってしまうのです。
こうしたことを避けるためにもライティングの際は、執筆そのものよりむしろ準備の方に十分な時間をかけるべきなのです。
webライティングの手順 その1 テーマ設定
webライティングにおける最初のステップはテーマ設定です。
テーマとは、文章の主題のことです。わかりやすくいえば、何について書くのか、という時の何のことです。テーマを決めるというのは、その何を決めることです。
またテーマと同時に切り口も決める必要があります。切り口というのは、そのテーマのどんな側面を見るかという時のその側面のことです。
なぜ切り口が必要か、といえば、通常、テーマだけではカバーする範囲が広すぎて、論点がしぼれないからです。
ということで、まずはテーマと切り口を設定しましょう。ちなみに切り口はここでは当たりをつける程度でかまいません。
webライティングの手順 その2 ペルソナ設定
次に行うのがペルソナ設定です。
ペルソナというのは、ターゲットとする読者の典型的な人物像を仮想的に設定し、さらにそれを見える化したものです。
このペルソナを設定すると読者が本当は何を知りたいのか、という心の奥底がよく見えてきます。
たとえばターゲットとなる読者を「webライティングに興味のある20代女性」と、どこにでもいるような抽象的な人物像として設定した場合、その女性がwebライティングの何について知りたいのかがはっきりしません。
たんにwebライティングと他のライティングとの違いを知りたいのか、それともwebライターになる方法を知りたいのか、といった具体的な問いが見えてこないからです。
それに対し、ターゲットを「webライターになりたくて、webライティングの方法論を知りたがっている20代女性」という具体的なペルソナへと落とし込んだ場合、「webライティングの方法論について知りたい」というその欲求がより明確になります。
このようにペルソナを設定するとテーマが絞れるだけでなく、その切り口もよく見えるようになります。
テーマは決まったものの切り口をどうしようか迷った時は、ペルソナを実在の人物と想像した上で、それと対話してみるとよいでしょう。
ペルソナについてはこちらの記事も参考になさってください↓
ペルソナ分析とは? |そのメリット 具体的なやり方とコツ 注意点
webライティングの手順 その3 設計
次は設計です。設計というのは、何をどう書くかという構想を練り、それを設計図に落とし込む作業です。
では、webライティングにおける設計図とは一体なんでしょうか?
アウトラインです。アウトラインというのは文章の構成です。何をどういう順序で書けばよいのか、という時のその構成のことです。
アウトラインを目に見える形にしたのが見出しです。正確には、アウトラインがそのまま見出しになるわけではありませんが、相応する部分が多いのもたしかですのでここでは便宜上、アウトラインほぼイコール「見出し(のリスト)」ということにしておきます。
したがって、webライティングにおける設計というのは、見出し(とそのリスト)の作成であるといってもよいでしょう。
見出し作成
では見出しはどうやって作成するのでしょうか?
それに答えるためには見出しとは何かということから考えなければなりません。
そこであらためて問い直します。見出しとは一体何でしょうか?
結論からいうと、見出しとは問いのことです。
ここで忘れてならないのは、文章というのは問いに対する答えだということです。そのことは、取り上げた問いに対し、順を追って答えを出していくのが文章の基本的な構造であることがわかれば、うなずいていただけるのではないでしょうか?
その問いをわかりやすい形で提示したのが見出しにほかなりません。
したがって見出しを作成するには、まず問いを立てるのが先決ということになります。
どうやって問いを立てるか?
ならば問いはどうやって立てるのかですが、まずは問いの種類からみていきましょう。
文章の問いには大きな問い(大問)と小さな問い(小問)があります。
大問とは、文章の中心となる問いです。それなしには文章がなりたたない、いわば大黒柱のような問いです。通常は、テーマがそのまま大問になります。この記事でいえば「webライティングとは?」がそれに相当します。
一方、小問というのは、大問を支える問いです。大問ひとつだけの文章もないとはいいませんが、通常、文章といえばひとつの大問とそれを支える複数の小問があるのが普通です。
この記事でいえば、「webライティングの具体的な書き方は?」「設計(とは?)」「どうやって問いを立てるか?」などが小問に相当します。
このように文章というのは、ひとつの大問の下に複数の小問がぶら下がった階層構造となっています。
なお小問の下にはさらに別の小問がぶら下がるのが普通ですが、ここではそれらをひっくるめてすべて小問と呼ぶことにします。
この問いの階層構造を整理し、わかりやすい表現に直したものが見出しのリストになります。
webライティングにおける問いの重要性
ここで問いの重要性について、あらためて触れておきたいと思います。
問いが文章の柱である以上、文章の違いを決定づけるのは表現の違いを除けば、問いの違いということになります。したがって文章の良し悪しというのは、そこにある問いがどれだけ独創的かどうかにかかっているといってもよいでしょう。
もちろん、独創性が要求されない文章であれば、とりたてて独創的な問いを立てる必要はありません。場合によっては、どこかでみた似たような見出しが並んでてもとくに支障はないでしょう。
しかし、それなりに中身のある文章を書こうと思ったなら、それでは不十分です。中身のある文章を書くためには独創的な問いを立てなければならないからです。そしてここで問題なのは、独創的な問いを立てるのはそう簡単ではないことです。
ライティングの立問にはマインドマップが便利
ではどうしたら独創的な問いが立てられるのでしょうか?
ここでおすすめしたいのはマインドマップの活用です。
マインドマップというのは脳内のアイディアを平面上に図示して、それを整理、発展させるための思考支援ツールです。
マインドマップは、企画のアイディア出しなどに使われることが多いツールですが、文章作成にも十分使えます。というより私からすればむしろ文章作成にこそ使ってほしいツールです。
マインドマップのアプリは有料、無料、ひっくるめて数多くあり、いずれもネット上から簡単に入手可能です。まだお持ちでない方はこの機会にぜひ入手してください。
ちなみに私は、GoogleドライブのMindMupを使っています。
さて、このマインドマップを使った問いの立て方ですが、具体的な手順としては次のようになります。
大問を入力する
1、まず中心に大問を入力します。ここでは先に選んだテーマがそのまま大問になります。もし問いの形になっていなければ、問いの形に直しましょう。通常は語尾を「〜とは?」という疑問形に直すだけで大丈夫です。
小問を枝分かれさせる
2、次に大問から小問を枝分かれさせます。この小問は、先に検討した「切り口」をベースに導き出すとよいでしょう。といっても、ひとつも思い浮かばない時もあれば、逆に思い浮かびすぎてどれを選べばよいか分からなくなる時もあるかと思います。
そんな時は、例のペルソナを参照してください。それを実在の人物であるかのように想像し、心の中でそれと対話するのです。「あなたは何を知りたいのですか?」とペルソナに問いかけてみてください。あるいは、あなたがペルソナ本人になりきってみてください。そうすると、「私が知りたいのは○○○○だった!」という洞察がきっと得られるはずです。
ペルソナが知りたいそれが小問になります。それらを、必要な分だけ大問から枝分かれさせてください。
なお、枝分かれさせる際、ひとつの枝に一文、を原則としてください。
慣れれば、複数の文をまとめて入れてもかまわないのですが、複数の文があると論理がどうしても乱れやすくなります。
論理の乱れがあると、あとでスムーズにつなげられなくなりますので、慣れないうちは、できるだけ一文のみ入れるようにした方がよいでしょう。
小問にも答えを出しておく
次に小問に対してその答えを書き出します。長々と文を連ねる必要はありません。むしろなるべく簡潔に「〜だから」とひと言で返すようにしてください。
またその際、「それはなぜ?」「それはどういうこと?」といった新たな問いが立ち上がる場合があります。そこで立ち上がった新たな問いに対しても答えを書き出します。
さらにそこからまた新たな問いが立ち上がったなら同様に答えを書き出します。ここは読者が十分納得できると思える答えが出るまで続けましょう。
なお、枝分かれさせる際、「なぜ?」「どういう意味?」「ということは?」「具体的には?」といった言葉でつなぐと論理関係が明確になり、あとでそれをもとに実際に執筆する際、書きやすくなります。
参考までにこの記事のマインドマップを載せておきます。
問いを整理する
次にこれらの問いを整理します。整理というのは、問いを取捨選択したり、階層を見直したりすることです。もし的外れだったり、不要だったりする問いがあれば、修正するなり、削除するなりして適切な問いのみ残すようにしましょう。
アウトライン作成
問いを整理したら、次はそれをもとにアウトラインを作成します。アウトラインの作成とは先に述べたように見出し(のリスト)を作成することです。
したがって、アウトラインの作成とは、問いを見出しの形式に直し、それらを適切な順に並べる作業ということになります。
ところで、ここで問題になるのは、それらの問い(見出し)をどういう順序で並べるかということです。
型に沿って並べる
並べる方法にはいろいろありますが、一番よいのは文章の「型」に沿って並べることです。
なぜ型を使うとよいのでしょうか? 理由はふたつあります。
ひとつは型に沿っている方が読者にとっても理解しやすいからです。人の認識方法には特定のパターンがあり、それに沿っている方がすんなり頭に入りやすいからです。
もうひとつは、その方が書きやすいからです。言いたいことを型にあてはめていくだけで完全な文章が自然にできあがるからです。
さて、ではそうした文章の型にはどんなものがあるのでしょうか?
そうした型にはいくつかありますが、ここでおすすめしたいのは三段構成です。序論(はじめに)、本論、結論(まとめ)の三つの部分からなるオーソドックスな文章パターンです。
オーソドックスとはいえ、実際、書きやすいし、また読みやすいので、とくに読みやすさが優先されるブログ記事では多くがこの三段構成を採用しています。
では、この三段構成という型に対して、どのように問いをあてはめていけばよいのでしょうか?
三段構成に問いを当てはめる
やり方は次の通りです。
まず序論(はじめ)には「大問」が入ります。ここは文章のテーマである大問を提示して、これからその大問に答えていきますよ、と宣言する部分です。またその際、導入(いわゆるリード)も入れるとなおよいでしょう。導入というのは、この問いを取り上げたのは、こういう理由からです、とその背景を簡潔に説明する文章です。
もしうまい言い回しが思いつかない場合、「○○○とは何でしょうか? この記事ではその○○○について説明します」とだけ書いておけばよいでしょう。
次は本論です。本論部分には小問が入ります。通常、小問は複数ありますから、それらを読者にとってもっともわかりやすい順に並べます。
ちなみにマインドマップで作成した問いであれば、それらの順序はそこにある階層構造もふくめ、すでに明確になっているはずです。その場合、それらをそのまま並べればよいでしょう。
最後は結論(まとめ)です。結論といっても、結論はすでに本文の中で提示していますので、その言葉にとらわれる必要はありません。ここは、単純に「まとめ」、あるいは「後書き」の部分と考えてよいでしょう。
本文で言い足りなかったことや、強調したいことなどを、必要に応じて書き足してください。
ただし、webライティングの場合、まとめはなくてもとくに問題ありません。もちろんあるに越したことはないものの、もしとくに書くことがなければ無理に書く必要はありません。
webライティングの手順 その4 情報収集
ここで情報収集について触れておきます。文章を書くには当然ながらネタとなる情報が必要です。もちろん、すべての情報がすでに頭の中にあるというのであれば別ですが、通常は、必ず足りない情報があるはずです。そのため設計段階においては、ここに記した手順と並行して、情報を積極的に集める必要があります。
情報収集の手段としては現在、ネットによる収集が一般的ですが、場合によっては専門書に当たったり、関係者に直接取材することも必要になってきます。適宜、必要な手段を選択してください。
この情報収集に関しても述べなければならないことは多々ありますが、ここでは文章そのものの書き方に重点を置いている関係上、これ以上は割愛させていただきます。
webライティングの手順 その5 執筆
次はいよいよ執筆作業です。
といっても、ここまでくればそう難しくありません。というのも、先に述べたように文章とは問いに対する答えですので、問いである見出しができたなら、あとはそれに単純に答えていくだけだからです。すなわち、執筆作業とは、問いである見出しに対して答えを書いていく作業にほかならないのです。
ちなみにこの記事の場合、かなり詳細なマインドマップ(アウトライン)を作成しましたので、執筆にあたってはほとんど考えることなくすらすらと書き進めることができました。
さて、その「問いに対する答え」ですが、具体的にはどう書けばよいのでしょうか?
それに答える前に文章の構造、とくに段落のそれについてもう一度復習しておきましょう。
段落について
文章は通常、複数の段落からできています。ということは、文章とはすなわち段落の集まりであるといえるでしょう。
さてでは、この段落と先ほどから取り上げている「(問いに対する)答え」はどのような関係にあるのでしょうか?
結論からいうと、小問に対する答えが段落に相当します。これはすなわち「答え」を書くというのは段落を書くことにほかならない、ということです。
参考までにこの記事のマインドマップをもとにした図解を載せておきます。
赤色の枠が「段落」に相当する部分です。
なお、薄青の枠はこのあとに出てくる「結語文」であることを示しています。
段落の書き方
さて、前置きが長くなりましたが、ここからがいよいよ本題です。この段落は具体的にどう書いたらよいのでしょうか?
何度も同じことを言って恐縮ですが、ここでもおすすめは「型」の活用です。
なぜおすすめなのかといえば、書きやすいからです。
なぜ書きやすいのでしょうか?
それは、段落そのものが三段構成になっているからです。
じつは段落には一定の型があります。
一般に段落は次のように三つの部分からなります。
主題文
従属文
結語文
主題文は、その段落で主張したい論点を要約した文です。
従属文は、具体的な事例や根拠を挙げるなどして主題文をより詳しく説明した文です。
結語文は、主題文で提示した主張を表現を変えて再度主張した文です。ただし、結語文は必須というわけではなく、しばしば省略されることがあります。
段落の書き方については、こちら(↓)により詳しい記事がありますので、そちらもぜひご参照ください。
このように段落自体がそもそも三段構成からなっていますので、それを書く際、三段構成の型にあてはめると書きやすいのは当然といえるでしょう。
では、その三段構成の型ですが、具体的にはどんなものがあるのでしょうか?
いくつかありますが、ここではSDS法とPRE法をおすすめします。
SDS法
これは
S=Summary(要点)
D=Details(詳細)
S=Summary(要点)
の頭文字をとったものです。
例文でいうと次の通りです。
文章構成法のひとつにSDS法があります。(←Summary)
これは、S=Sumary(要点)、D=Detail(詳細)、S=Summary(要点)の頭文字をとったものです。(←Details)
このSDS法を使うとわかりやすく説得力のある文章が書けるようになります。(←Summary)
PREP法
PREP法は、
P=Point(結論)
R=Reason(理由)
E=Example(具体例)
P=Point(結論)
の頭文字をとったものです。
例文でいうと次のようになります。
文章は型に沿って書くと書きやすい。(←Point)
なぜなら言いたいことを型にあてはめるだけで完全な文章ができあがるからだ。(←Reason)
たとえば三段構成であれば「はじめに」で問いを明示し、「本文」でその答えを述べ、最後に「まとめ」で総括という型になるが、これを使えば文章構成を一から考えることなく、言いたいことをそれぞれ適切な箇所に埋め込むだけでわかりやすい文章が簡単にできあがることになる。(←Example)
したがって、文章を作成する際は型に沿って書くべきである。(←Point)
これは三段構成ではなく、四段構成ですが、E=Exampleの部分は必須ではありませんので、それを省略すればSDS法とよく似た三段構成になります。
その意味ではどちらも同じといえますが、あえて違いを探せば、PREP法は論理的な文に、SDS法は説明的な文に対応したものといえるでしょう。
ここでご注目いただきたいのは、SDS法および(Eを省いた)PREP法のどちらも三段構成であることです。そして、どちらも段落の三段構造にぴったり対応していることです。
たとえば、SDS法でいえば、Summaryが主題文に、Detailが従属文に、Summaryが結語文に、それぞれ相当します。
またPREP法では、Pointが主題文に、Reasonが従属文に、Pointが結語文にそれぞれ相当します。
このように、三段構造からなる段落の文章は同様に三段構成からなるSDS法、またはPREP法にしたがって書くとぐっと書きやすくなります。
短文を心がける
webライティングに限りませんが、文はできるだけ短くした方が読みやすくなります。目安としては一文40字以内くらいが適切でしょう。またその際、一文一意を意識するのも大切です。これはひとつの文でふたつ以上のことを言わないということです。
また短文にすることは、書く側にとってもメリットがあります。長い文だと、気をつけているつもりでも、主語と述語がねじれてしまったり、能動態と受動態が混在してしまったりすることがあります。けれど、短く言い切る短文ならそうしたミスは比較的回避しやすくなります。
好きなところから書いていく
最後に執筆方法に関するヒントをひとつつけくわえておきます。ここまで述べてきた設計がきちんとできていればという前提ですが、執筆の際はどこでも好きなところ、書けそうなところから書いていってかまいません。
というのも、ここで説明した執筆方法はいわばピースを埋めるパズルのようなものだからです。そうしたパズルでは埋める順序は無関係です。どこから埋めようとすべてのピースが埋まれば、その時点でパズルは完成です。同様にこのやり方ならどこから書いていこうが、最終的にすべての段落が埋まればそれで執筆完了となります。
ですので最初から必ず順を追って書かなければと、こだわる必要はまったくありません。逆にこだわると途中で書けなくなった場合、そこから先へ一歩も進めず、うんうんうなるだけになってしまう可能性があります。
もし書けなくなった場合、そういう時もあると気を取り直し、別の書けそうなところから書いていきましょう。そうしてひと通り書き終わったなら、行き詰まった箇所にもう一度戻ってきてください。そうすると、今度は案外すらすらと書けたりするものです。
webライティングの手順 その6 執筆後のチェック
書いたあとは必ずチェックするようにしましょう。
チェックする項目は次の二点です。
・誤字脱字はないか?
・わかりにくい表現はないか?
誤字脱字はないか?
誤字脱字は読者にとって興醒めなものです。どれほど良い文章であっても、誤字脱字が一箇所あるだけで、筆者への信頼が吹き飛んでしまいます。文章の説得力もガタ落ちになってしまいます。自信がなかったり、少しでも不安に思う言葉や表現はおっくうがらず意味を確認するようにしましょう。
わかりにくい表現はないか?
わかりにくい表現は見直して修正しましょう。とはいえ、じつはこれがなかなか厄介です。というのも、文章がわかりやすいか、わかりにくいかは書いた本人にはなかなか判別しずらいからです。
とりわけ、文章を書いた直後というのはある種、熱を帯びている状態です。しかも、書いてあることは筆者の頭の中ではすべてつながっています。そのため、第三者の目からみれば明らかである論理の飛躍やその破綻も、書いた本人にはなかなか認識しずらいのです。
ではどうしたらよいのでしょうか? ここではふたつの方法を示します。
時間を置いて見直す
ひとつは、時間を置いて見直すことです。その場合、最低でも一晩は寝かせましょう。時間を置けば、執筆直後の熱が冷め、冷静さと客観的な視点が取り戻せます。そうすれば、執筆直後には見えなかった「アラ」も見えてきます。同時によりよい言い回しも浮かんでくるかもしれません。
表示環境を変える
もうひとつは、表示環境を変えることです。具体的にはフォントを変えたり、横書きだったのを縦書きに変換したりして、文章の表示方法を変えてみることです。パソコンで書いたものなら、スマホ上で読み直すという手もあります。こうすることで自分が書いた文章という意識をいったん切り離すことが可能になります。と同時に客観的な目線も取り戻せるはずです。
webライティングで押さえておきたいポイント
以上、webライティングの具体的な方法論について詳述してきました。ここからはwebライティングで押さえておきたいポイントについて解説します。
webライティングで押さえておきたいポイントは次の通りです。
・最後まで読んでもらうこと
・アクセスを集めること
・SNS上でバズってもらうこと
webライティングのポイント その1 最後まで読んでもらう工夫
はじめにでも触れたように、webライティングには離脱されやすいという特徴があります。そのため、webライティングでは離脱を防ぎ、最後まで読んでもらうための工夫が必要になります。
では、離脱させず、最後まで読んでもらうための工夫にはどんなものがあるのでしょうか?
そこには多くの工夫が考えられますが、ここでは次の四つを挙げておきます。
読んで得られるメリットを最初に提示する
記事のはじめに、この記事を読むとどんなメリットがあるのかが明示されていると、読むモチベーションが刺激され、離脱されにくくなります。また記事の最初ばかりでなく、途中でも「この先読み進めるとこういうメリットが得られますよ」という文を一定間隔ではさむと離脱を防ぐことができます。
結論を先に書く
ネットユーザーにとって記事を読むというのは限られた貴重な時間をそれに割くことです。そのため、読むべき記事としてユーザーに選択されるためには、きわめてシビアな判断基準を潜り抜ける必要があります。その際、重要な基準となるのが結論です。読むに値するかどうかは結論部分で判断されるからです。
けれど結論がなかなか出てこないとその判断ができません。そうなるとユーザーはしびれを切らして離脱してしまいます。そうならないようwebライティングでは結論を先に書くようにしましょう。離脱を防ぐのはもちろん、よりわかりやすい文章になるという意味でもその方が効果的です。
ストレスなく読めるようにする
文字がびっしり詰まっていたり、読みづらかったりすると、それだけで読む気が失せてしまいます。そうなれば当然、離脱される可能性も高まります。読者を離脱させないためには、そうしたストレスをできるだけ取り除いてやる必要があります。
そうしたストレスを取り除くための工夫には次のようなものがあります。
1、改行を多くする
改行が多いと、文章に余白が生まれます。文章に余白が生まれると読者の心にも余裕が生まれます。そして心に余裕が生まれると、ストレス耐性が高まり、もう少し読んでみようという気持ちになります。
2、段落ごとに完結させる
ひとつの話題はできるだけひとつの段落内で完結させるようにしましょう。いくつもの段落を読まないと結論がわからないのはストレスの原因になります。そしてストレスが一定レベルを超えると離脱されやすくなります。
3、息抜きを入れる
長い文章が延々と続くのは字面をみるだけで息が詰まるものです。それを防止するためには、途中で息抜きを入れるのがおすすめです。具体的には吹き出し付きのコメントや補足情報などがそれに相当します。もちろん画像もよい息抜きになります。画像はできるだけ入れるようにしましょう。
こうした工夫をすることで読むストレスはかなり軽減されるはずです。webライティングの場合、ひとつの段落を読んだら、次も読みたくなり、気がついたらいつのまにか最後まで読んでいたとなるのが理想です。
読者目線で書く
離脱させないもうひとつの工夫は読者目線で書くことです。
読者目線で書くとはどういうことでしょうか? それはメリットではなくベネフィットの観点から書くということです。
たとえば「この掃除機は吸引力が強いのが特徴です」という文と「この掃除機を使えばゴミだらけの部屋もあっというまにきれいになります」というふたつの文があったとします。ふたつを比べた場合、どちらが読者によりアピールするでしょうか?
答えはいうまでもなく後者です。
前者はメーカーからみた掃除機のメリット(特徴)であり、後者はユーザーからみた掃除機を使った時に得られるベネフィット(便益)です。
このようにメリットではなくベネフィットという視点から書くことで、読者の心により響く表現になり、それが離脱を防ぐことにつながります。
これが読者目線で書くということです。
webライティングのポイント その2 アクセスを集めること
「はじめに」で論じたように、webライティングの条件のひとつに検索エンジンで上位表示されることというのがありました。
そのため、webライティングにおいては検索エンジン対策を意識する必要があります。検索エンジン対策には、Hタグをきちんと階層構造にするなど、多くのテクニックがありますが、文章レベルでいえば、キーワードを適切に埋め込むことも重要なテクニックです。検索エンジンは記事の重要性を検索キーワードとの関連性によって判断するからです。
といっても無闇やたらとキーワードを埋め込むのはかえって逆効果です。スパム記事とみなされる可能性があるからです。キーワードはあくまでも読みやすさを優先しながら、適切な範囲内で入れるようにしましょう。
webライティングのポイント その3 バズらせる
webライティングの場合、バズらせることも目的のひとつになります。バズるというのは、SNSなどでシェアされることによって、短期間で爆発的に拡散されることです。
バズることは宣伝になりますので、webライティングではバズることを意識する必要があります。
バズる文章にするためのテクニックにはいくつかありますが、基本となるのは「共感を得る」「自分ごととしてとらえてもらう」のふたつです。
何が共感を得るのか、はペルソナを分析することで見えてきます。また自分ごととしてとらえてもらう、というのは読者目線に立つということです。これは先ほど「読者目線で書く」の項で説明した通り、メリットではなくベネフィットという観点から書くということでもあります。
またいうまでもありませんが、バズらせるには、内容自体が「シェアしたくなる」ようなものである必要があります。そしてそのためには、「目から鱗の情報である」「もやもやしていた思いをよくぞ言語化してくれた!」という「感動」が必要です。
この何に読者は感動するのか、という部分もペルソナを分析することで見えてくるでしょう。
このwebライティング術のメリット
ここで、問いをもとに文章を組み立てていくこのwebライティング術のメリットについて、もう少し詳しく触れておきたいと思います。
このライティング術が優れているのは書けなくて行き詰まった時、何を書くべきかを見つけ出すことができるという点です。書けなくて途方にくれたまま、インスピレーションが降りてくるのをただ待つ、という無駄な時間がなくなるということです。
そのための具体的な方法論が用意されているのが、このライティング術の特徴です。
では、その方法論とは一体何でしょうか? ポイントは、問いにあります。
そもそも文章を書くというのは、テーマという中身のわからない、ひとかたまりの素材を切れ味鋭い包丁でスパッと切り、誰も見たことのないその珍しい断面を読者に見せるようなものです。
その包丁の役割を果たすのが、問いです。鋭い問いというのは、鋭い包丁のようなものです。
鋭い問いがあれば、テーマに対してそれだけ鋭く、断面も鮮やかに切り込むことできます。
そして、そこにある断面が鮮やかに見えれば、あとはそこに見えたものを言語化するだけです。何を書くべきかがわかるというのは、そういうことです。
またそれが、問いを包丁にする、ということの意味でもあります。
ちなみに文章が書けなくて行き詰まるのは多くの場合、問いが曖昧だからです。とくに問いの切っ先が鈍いのがその原因です。問いの切っ先が鈍いからテーマをうまく切ることができないのです。うまく切ることができないから断面がぼやけてしまい、そこにあるものを適切に言語化できないのです。
そういう時は、まずは問いを見直してみることをおすすめします。問いの切っ先を鋭くすれば、テーマに対しより鋭く切り込むことができます。そうすれば、そこにある断面がより鮮やかに見えてきます。そして、そうなれば、何を書くべきかも自ずと見えてくるはずです。
まとめ
最後に要点をまとめておきます。
・webライティングとは、検索エンジンで上位表示されると同時に最後まで読んでもらうための工夫を盛り込んだライティング手法です
・webライティングの具体的な流れは「テーマ設定」「ペルソナ 設定」「設計」「執筆」「校正」です
・文章を書くことは、問いを立て、それに対して答えることです
・webライティングには最後まで読んでもらう工夫が必要です
・最後まで読んでもらう工夫には、「結論を先に書く」「改行を多くする」「読者目線で書く」などがあります
以上、webライティングとその具体的な書き方についてご説明しました。参考にしていただけたなら幸いです。
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