私もしばしば多用してしまうのだが、「その意味で〜」という言い回しには注意が必要だ。
そもそも「その意味で〜」はどんなときに使われるのだろうか?
一般には、論理展開の最後にそれまでの論証を「まとめる」際に使われることが多い。したがってそれからはじまる段落は当然ながら「まとめ」=「結論」の性格を帯びることになる。
注意しなければならないのは、その言い回しには論理的な説明をはしょって一気に結論にもっていく有無を言わさぬ強制力があることだ。
そのため、安易に使うと読者を戸惑わせてしまうことになる。十分な理解が得られないまま突然、放り出される形になってしまうからだ。
書く方にとっては面倒な論理展開を省略できるので便利な言い回しだが、読者にとっては不親切なものになりうることは留意しておくべきだろう。
売るためのマーケティングから課題解決のためのマーケティングを提唱する独立系シンクタンク「ミライニウム」を主宰するマーケティング研究者。コピーライター、雑誌ライター、プランナーとして30年以上にわたり、マーケティングの実践および研究を続けている。北軽井沢隣接宣伝研究所所長。