キャッチコピーはどうやって作る?
キャッチコピーってどうやって作ればいいの? 具体的にどんな順序で発想していけばいいの? そんな疑問をお持ちの方のために、世界一カンタンな(たぶん?)キャッチコピーの発想プロセスをフローチャートにしてみました。
いうまでもありませんが、本来のキャッチコピー発想のプロセスはもっと複雑で広範にわたるものです。だからこそ場合によってはキャッチ一本うん百万円などというフィーが発生したりもするのですが、ここでは実務上必要十分なプロセスだけに絞ってみました。
キャッチコピーの作り方 その1 ポジショニングを決める
キャッチコピーを作る上で最初に行うべき作業はポジショニングです。
通常、見込み客は商品を選択する際、複数の軸からなる座標を無意識のうちに脳内に描きます。そこに候補となる商品を並べ、比較検討するためです。いわば脳内地図です。
その脳内地図をポジショニングマップといいます。そしてその地図上に商品を位置付けることをポジショニングといいます。
たとえば横軸に価格、縦軸に品質をとったポジショニングマップの場合、A商品は高品質だけど値段が高い、B商品は安いけど、品質がイマイチ、といった具合です。
ここではそのポジショニングマップのどこに自社商品が位置付けられるのかを明確にします。
さらにここからが重要なのですが、その見込み客が最終的に選択するであろうポジションがどこなのかを見極めます。
たとえば自社の見込み客が、高くても高品質な商品を求めているのか、低品質でもいいからできるだけ安いものを探しているのか、を明確にするということです。
おおよそ特定できたら、次のペルソナ段階に進みます。
キャッチコピーの作り方 その2 ペルソナを設定する
ペルソナというのは、商品のユーザー像のことです。それも典型的なユーザー像です。いわゆるターゲットという概念とも似ていますが、要はそれをもっと詳細なプロフィールに落とし込み、擬人化したものです。
ここでは性別、年齢、家族構成、学歴、職業、趣味などその属性をできるだけ詳細に描き出します。
とくに重要なのは商品を使う場面です。どこでその商品を使うのか? なぜ必要なのか? それにまつわる悩みは何か? といった商品購入の背景にある要因を分析し、洗い出していきます。
可能であれば、実際の見込み客やすでに購入した人に直接インタビューをした方がよいでしょう。そうすればより正確なペルソナが描けるからです。
キャッチコピーの作り方 その3 インサイトを発見する
ペルソナが完成したら、次はインサイトです。
インサイトというのは、正確な定義が難しい言葉なのですが、ここではざっくりと購入を動機づける心理的な働きとお考えください。多くの場合、本人自身も意識していない隠れた欲求がそれに当たります。買う気を刺激するツボといってもよいでしょう。
そして、インサイトは一般にある特定の言葉で表されます。
特定の言葉とは「気になる言葉」「はまる言葉」です。
たとえば、「痩せる」「儲かる」といった言葉が気になる人は多いのではないでしょうか? また何かの持病を患っている人は、新聞や雑誌をなにげなく読んでいてもその病名を示す言葉が妙に浮かび上がってみえることも多いはずです。
なぜ浮かび上がって見えるのでしょうか?
それはそれらの言葉が「気になる言葉」だからです。あなた自身がそれにまつわる悩みを抱えているからです。その悩みを解消したいという欲望が心の中にあり、その欲望がそうした言葉に注目するよう無意識の中で働きかけているのです。
また、同じように「成功」「億万長者」「美人」といった言葉に反応する人も多いのではないでしょうか。 それはそれらの言葉がもつ世界観が自分もそうなりたいという欲望と共鳴するからです。そしてその世界観に 自分が「はまった」瞬間、インサイトという心のスイッチが入るのです。
つまり、見込み客のインサイトを探るということは、その見込み客にとっての「気になる言葉」「はまる言葉」を探す作業ということに他なりません。
ただし、ここで注意しなければならないのは、真のインサイトはそうした表面的な「気になる言葉」「はまる言葉」のさらに一段深いレベルに潜んでいる場合も少なくないということです。
ここではこれ以上詳しい説明はしませんが、このことは一応頭の片隅に入れておいていただければと思います。
※『コピーライティング講座|売るコピーは心のツボを押せ!刺激するインサイトコピーの作り方』の中にもう少し詳しい解説があります。
キャッチコピーの作り方 その4 キーワードを選定する
こうした「気になる言葉」「はまる言葉」は買う気を刺激するという意味でキーワードともいえます。
ここでは前段階で描き出したペルソナとそのインサイトをもとに、キーワードを探り出します。すなわち、見込み客にとって「気になる言葉」「はまる言葉」は一体何なのかを探り出すということです。
キャッチコピーの作り方 その5 実際のキャッチコピーに仕上げる
さあここまで来たら準備はすべて整いました。
あとは前段階で導き出したキーワードをもとに実際のキャッチコピーに仕上げていくだけです。
ちなみにキャッチコピーの役割は見込み客の注目を集めることとボディコピーへ誘導することにあります。
そのため、その形式は一般に次のようになります。
「キーワード+謎」
です。
解りやすいよう具体的な例でみていきましょう。
たとえばこんなキャッチコピーです。
一週間で痩せた! その秘密は?
このうち「痩せた」はいうまでもなくキーワードです。先ほどご説明したように「気になる言葉」「はまる言葉」として見込み客の注目と関心を惹く機能を担う部分です。
また「その秘密は?」が「謎」の部分に相当します。
謎というのは「謎かけ」です。
ーーその秘密は?
このように謎かけされると、多くの人はその答えを知りたくなるものです。
そして知りたくなれば、当然続きを読んでみようとなるものです。
これが「謎」が持つボディコピーへの誘導機能です。
このようにキャッチコピーがキャッチコピーであるためには、「キーワード」と「謎」を必ず盛り込む必要があります。
逆にそれらの要素が欠落したキャッチコピーはキャッチコピーとしては失格であるともいえるでしょう。キャッチコピーとしての機能を果たすことができないからです。
◇
以上、世界一カンタンな、というにはちょっと長くなってしまったような気もしますが、キャッチコピーの発想プロセスをご紹介させていただきました。ご参考になれば幸いです。
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売るためのマーケティングから課題解決のためのマーケティングを提唱する独立系シンクタンク「ミライニウム」を主宰するマーケティング研究者。コピーライター、雑誌ライター、プランナーとして30年以上にわたり、マーケティングの実践および研究を続けている。北軽井沢隣接宣伝研究所所長。