いまや禁句となったコピーライティングにおけるこの決まり文句

自分の首を締める煽り系広告

煽り系広告の特徴の一つに、「申し遅れました。私、○○○と申します」という決まり文句があります。たいてい、その前にキャッチーな話題が来て、読者の興味を引くような書き出しから始まっています。

書き出しがキャッチーな話題から始めるのは定石ですし、それが確かに効果的であることはもちろん否定しません。けれどその後に出てくるこの「申し遅れました。私〜」はいただけません。それが出てくると、またかよ、と途端に気持ちがなえてしまうからです。

なぜでしょうか? それはこの決まり文句がいまや「煽り系広告」の特徴となっているからです。

多くの人がこの手の煽り系広告に騙された経験を持っています(購入はしないまでも読んで時間を無駄にした人は多いことでしょう)。そのため、このおきまりの文句が出てくると「あ〜なんだまた詐欺商品かよ」ともうそれだけでその正体がわかってしまうのです。さっきまでの期待感が一挙に消し飛び、途端に白けてしまうのです。

当然ながら世の中には詐欺商品ではない素晴らしい商品もたくさんあります。けれど、この決まり文句を使ってしまうと、そうした素晴らしい商品までもがいっぱひとからげに詐欺商品とみなされてしまうのです。それは実にもったいないことです。

禁句を多用するコピーライティングは信用されない

コピーライティングはある意味、広告主と消費者との騙し合いでもあります。広告主はなんとかして消費者を騙そうと試みますし、消費者はなんとかしてそこに嘘がないか見抜こうと身構えています。

そして忘れてならないのは、消費者には学習能力があるということです。実際、消費者の多くは「申し遅れました。私、○○○と申します」という決まり文句が詐欺商品に多用されるテクニックであることをすでに知っています。

たしかに文章の流れを作る上でもこの決まり文句はとても使いやすいフレーズです。

けれどこの決まり文句には手垢がつきすぎています。そんな手垢のついた決まり文句を使うことは自分の商品が詐欺商品であると自ら宣言しているようなものです。それはもはや広告表現上の禁句のひとつであると言ってもよいでしょう。

今後、広告文を作成する人は、ゆめこの決まり文句を使わないよう心していただきたいものです。