IoTは、今後産業全体に大きなインパクトを与えると言われている。それは核爆弾並みの衝撃であるとも‥。たしかにIoTでいろんなものが根本的に変わるだろう。今の商品の多くも消えさるかもしれない。
しかし、マーケティングの面からみて忘れてならないのは、商品というのは人間の肉体や頭脳、能力といったものの延長上に投影された心理的代替物でもあるということだ。
つまり「いつかはクラウン」とか「隣のクルマが小さく見えます」といった広告コピーが示すように、かつて消費はアイデンティティ確認のひとつの手段でもあったわけだが、IoT時代になったからといって、そのような人の根源的な心理的欲求までも一夜にして消え去ってしまうと考えるのは早計にすぎるだろう。
逆に近未来におけるIoT時代で、そのような心理的代替物としての機能を果たす商品はいったい何なのか、と考えることもマーケッターとしては必要なのではないだろうか。
売るためのマーケティングから課題解決のためのマーケティングを提唱する独立系シンクタンク「ミライニウム」を主宰するマーケティング研究者。コピーライター、雑誌ライター、プランナーとして30年以上にわたり、マーケティングの実践および研究を続けている。北軽井沢隣接宣伝研究所所長。