キャッチコピーに欠かせない自分ごと化というテクニック

キャッチコピーで大切なのは自分ごと化

キャッチコピーで大切なのは「自分ごと化」にあるといわれています。

ここでいう自分ごと化というのは、そこでふられている話題が他の誰でもなく自分自身に関係するものであると認識させることをいいます。

では、なぜ自分ごと化がそれほど大切なのでしょうか?

それは、キャッチコピーがキャッチコピーであるために欠かすことのできない必要条件だからです。

もう少し詳しく説明しましょう。

そもそもキャッチコピーの目的はボディコピーへの誘導にあります。そして、ボディコピーへ誘導する上で大切なのが「興味を持ってもらうこと」です。キャッチコピーがなげかけた話題に対し、興味を持ってもらわないかぎり、そのままスルーされてしまうからです。

ならば、興味を持ってもらうにはどうしたらよいのでしょうか? 

キャッチコピーが興味を持ってもらうことを目的としている以上、そこにさまざまなテクニックがあるのはいうまでもありません。しかし、そのいずれを使うにしても、そこには必ず満たされるべき前提条件があります。それは、そこで取り上げられた話題が自分に関係するものであると認識してもらうこと、つまり自分ごと化してもらうということです。

なぜそういえるのでしょうか?

人は自分に関係することにしか基本的に興味を持たないからです。

他人ごとに興味を抱く人は多くありません。いや、実際には皆無といってよいでしょう。一見、自分とは無関係なことに興味をもつ人はいますが、内情を子細にみていけば、それはなんらかの形で自分ごととしてとらえた結果であることがほとんどです。

そのため、何かに対し人に興味をもってもらうためには、まずなによりもそれを自分ごととしてとらえてもらう必要があるのです。

ちょっと整理してみましょう。

ここにあるのは、キャッチコピーはボディコピーを読み進めてもらえないとその役割が果たせない→ボディコピーを読み進めてもらうには興味をもってもらう必要がある→興味をもってもらうには自分ごと化させる必要がある、という関係です。

そして、ここから導き出されるのは、キャッチコピーには自分ごと化させる要素が不可欠であるという結論です。

つまり、キャッチコピーがキャッチコピーであるためには、自分ごと化が欠かせない必要条件だということです。

自分ごと化させるテクニック

キャッチコピーにおいて「自分ごと化」が不可欠な理由については以上の説明でご納得いただけたかと思います。

では、実際に「自分ごと化」させるキャッチコピーを作るにはどうすればよいのでしょうか? 

以下、その具体的なテクニックについてみていきますが、その前に、頭の体操もかねてちょっとしたクイズを出題してみたいと思います。

戦前の米国で活躍した有名なコピーライター、J・ケープルスはかつてこう言いました。

「新聞1ページ分ぎっしり書かれた広告文をあなたに読ませるキャッチコピーを私は作ることができる」と。

今、目の前に新聞1ページ分、上から下まで文字でびっしり埋め尽くされた広告があります。あなたはそれを読んでみたいと思いますか?

現在世間を騒がせている重大事件についての記事であればいざ知らず、そこにあるのはただの広告文です。よほどの暇人でもないかぎり、読もうと思う人はいないはずです。たとえ読み始めたとしても半分も読まないないうちに離脱してしまうことでしょう。

ところが、この伝説的な名コピーライターはあなたにそれをーーそれも最初から最後まできっちりとーー読ませるキャッチコピーを作ることができると豪語しているのです。

一体、どんなキャッチコピーなのでしょうか?

ここで読者のみなさんも画面から目を離し、ちょっと考えてみてください。必ずしもよいアイディアが出なくてもかまいませんので、少し考えてからここへ戻ってきてください。

さて、そろそろ時間ですので答え合わせをしましょう。

J・ケープルスの答えはこうです。

「このページはすべて○○○○氏(←あなたの名前)について書いてあります」

いかがでしょうか?

誰もが読む全国紙の新聞紙の全面にびっしり文字で埋められた広告があり、そこに他の誰でもないあなたの実名が入った大見出し(キャッチフレーズ)がついているのです。

どんなことが書いてあるのか気になりませんか?

おそらく多くの人は気になってしようがなくなり、たとえ読みたくなくもついつい読んでしまうのではないでしょうか? それも最初から最後まで、一文字たりとも逃さずじっくりと‥。

これが「自分ごと化」させるということです。

もちろん、紙媒体である新聞広告を対象にした方法としてこれは技術的に不可能であり、実用性の面からいえばけっして現実的なアイディアとはいえないでしょう。

しかし、デジタル媒体であれば、いまや不可能ではないはずですし、メルマガの配信などではすでに活用もされています(自分の名前が入ったメルマガを受け取ったことのある方は少なくないはずです)。

いずれにせよ、ここにあるのは「自分ごと化」させることがいかに有効であるかを示す原理原則的な考え方といってよいでしょう。

キャッチコピーにおいて自分ごと化が何よりも重要であることは、ここからもおわかりいただけるのではないでしょうか?

ということで次から「自分ごと化」させるための具体的なテクニックについてみていきたいと思います。

キーワード

自分ごと化させる代表的なテクニックのひとつに「キーワード」を活用する方法があります。もう少し具体的にいうと、キーワードをキャッチコピーに埋め込むことです。

ここでいうキーワードというのは、自分の悩みや課題に関連する言葉のことです。たとえば、痩せたいと思っている人にとっては、「痩せる」「ダイエット」「肥満」といった言葉がそれに相当するでしょう。

何気なく本を読んでいたり、また街を歩いていたりしているとき、そうした特定の言葉だけがやたら目に入ってきた経験はありませんか?

なぜやたら目に入るのでしょうか?

それはあなた自身がそれにまつわる悩みを抱えているからです。その悩みを解消したいという欲望が心の中にあり、その欲望がそうした言葉に注目するよう無意識の中で働きかけているからです。

つまり、それらの言葉を解決すべき「自分ごと」としてとらえているせいで、やたら目に入るのです。

ということは、キーワードにはそれ自体に「自分ごと化」させる機能があるということになります。

そうしたキーワードをキャッチコピーの中に意図的に埋め込むのがこのテクニックです。そうすることで、キャッチコピーが投げかけた話題に対し、「あ、これは自分のことだ」と「自分ごと化」させることができるようになるのです。

呼びかけ

キーワードだけでも自分ごと化させられますが、それだけでは弱い時もあります。そういう時は直接呼びかけるのも効果的です。

たとえば「痩せたいあなたに」「転職しようか悩む新卒3年目のあなたに」などと、アピールする相手を限定する手法がそれです。そうすることで、その話題が自分に関係するものであるーーつまり自分ごとであるーーと認識してもらえるようになります。

これは先ほど挙げた読者を直接名指しするというJ・ケープルスの手法の応用例といえるでしょう。

私が主人公

企業からのメッセージであるコピーの主語は通常、企業になりますが、これを消費者に変えてみるのもよい手法です。たとえば「あなたにご褒美」というより「わたしにご褒美」といった方が当事者感が強くなり、心も動きやすくなるのがおわかりいただけるのではないでしょうか。

ちょっとしたレトリックにすぎないといえばその通りですが、これも自分ごと化させる上ではそれなりに効果のあるテクニックのひとつといえるでしょう。

まとめ

キャッチコピーにおいて「自分ごと化」はきわめて大切な要素です。それはキャッチコピーの効果を高めるテクニックというよりむしろ、キャッチコピーがキャッチコピーであるために欠かせない必要条件であるというべきです。

キャッチコピーを考える際は、どうしたらターゲットに対して自分ごと化させられるかをまず意識しましょう。そうする方が、下手に細かいテクニックに頼るより、ずっと強力かつスムーズにアイディア開発を後押ししてくれるはずです。