わかったようでわからないマーケティング用語のひとつにコンセプトがあります。コンセプトについては様々な人が様々な言い回しで説明しています。しかしいずれも抽象的すぎて結局のところ、なんだかよくわからないというのが多くの人の率直な感想ではないでしょうか。
そこで、私はシンプルにこう言います。
「コンセプトとはある特定の問いに対する答えである」と。
たとえば‥。
広告コンセプトとは、「その広告で(一番)何を伝えるべきか?」という問いに対する答えです。
例:「この掃除機は従来のものより二倍の吸引力がある」
商品コンセプトとは、「その商品で何ができるのか?」という問いに対する答えです。
例:「この掃除機は従来のものより二倍の吸引力があり、また軽量なため掃除が楽になる」
ショップコンセプトとは、「そのショップが売り上げを最大化するための仕組みとは?」という問いに対する答えです。
例:「○○に関してなら地域一番の品揃えがある」
サイトコンセプトとは、「そのサイトで何を達成するのか?」という問いに対する答えです。
例:「当社の業務内容を理解してもらい、同時に当社への信頼感を高めてもらう」
要はなんらかの問いに対する解答となるのがコンセプトなのです。
そのことを理解するには、仕事というものが本来、問題解決であることを思い出せばよいでしょう。
たとえば、企画とは、問いをたてることです。そしてその答えとなるのが商品開発です。同様にすべての仕事の中には、問いー答えという一連の構造が含まれています。たとえハウスクリーニングのような仕事であっても、その中には「どこがどのように汚れているのか?」「どこからどう作業をしていけばそれらの汚れが効率的に落ちるのか?」という「企画」作業とそれを解決するための「商品開発」(=清掃作業)という一連の組み合わせが含まれています。
すなわち仕事というのはすべからくコンセプトーーすなわち問いと答えーーを設定し、それを解決するための作業に他ならないのです。
売るためのマーケティングから課題解決のためのマーケティングを提唱する独立系シンクタンク「ミライニウム」を主宰するマーケティング研究者。コピーライター、雑誌ライター、プランナーとして30年以上にわたり、マーケティングの実践および研究を続けている。北軽井沢隣接宣伝研究所所長。