ソーシャルネットワークは「エコーチェンバー(共鳴室)」になる。つまり異質な人々と交流するよりも同質な人々と交流することで思考回路の強化を促し、結果的に意見の極北化をもたらすという懸念に対するFACEBOOKの研究結果が興味深い。
エコーチェンバー化する社会への対抗要因として「弱い絆」の重要性が高まっているということだろうか。広告も背伸びして生活者との間に「強い絆」を作ろうと無駄な努力をするよりも「弱い絆」としてのその本来の存在価値を追求するのがよいのかもしれない。
エコーチェンバー化する均質で退屈な社会をシャッフルし、そこでの人生に驚きと意味を与えるのがこれからの広告の役割なのだと思いたい。
売るためのマーケティングから課題解決のためのマーケティングを提唱する独立系シンクタンク「ミライニウム」を主宰するマーケティング研究者。コピーライター、雑誌ライター、プランナーとして30年以上にわたり、マーケティングの実践および研究を続けている。北軽井沢隣接宣伝研究所所長。