日本の資源は人材であるというが、それは本当だろうか? 私はそうは思わない。あるいは製造業が主流であった過去の一時期においてならそうもいえたかもしれない。指示に従っていわれたことを黙々とこなすという意味では日本人はたしかによい人材であっただろう。しかし今現在の、そしてこれからのポスト情報化社会ともいうべき、なによりも創造性が重視される時代において、人材の名に値する日本人が、一体どれほどいるというのだろうか? 少なくとも十分にいるとは私には到底思えない。
日本の本当の資源とは何か? それは日本文化であり、さらにその根底にある日本文明である。それがある限り、国際市場において日本は少なくともそれなりの競争力を保つことはできるだろう。
ただし、その価値に日本人自身が気づかないでいるうちは、それを活用することはできないし、下手すれば自らそれを破壊し去ってしまう危険性さえある。
何が日本の真の資源なのか、今求められているのはまさにその問いを深く掘り下げることである。
売るためのマーケティングから課題解決のためのマーケティングを提唱する独立系シンクタンク「ミライニウム」を主宰するマーケティング研究者。コピーライター、雑誌ライター、プランナーとして30年以上にわたり、マーケティングの実践および研究を続けている。北軽井沢隣接宣伝研究所所長。