マーケティングはアドバタイジングからブランディングへと進化してきました。すなわち、一方的な売り込みから自らがどう見られるかを意識するところにその重心が移ってきたということです。たんに押し付けるのではなく自らの襟を正すことが不可欠だと悟ったのはひとつの進歩でしょう。
では今後、マーケティングはどんな役割を果たすべきなのでしょうか? ひとつ考えられるのは、市場でどう振る舞うべきか、に関する規範を作り、それを企業に守らせることです。それはある意味、人々にどう生きるべきかを説く江戸時代の儒学者のような役割といえるかもしれません。さらに、できることならですが、市場そのものが孕む問題にも目を向け、市場に対してもそれを正すよう率先して声を上げる存在となってほしいものです。
売るためのマーケティングから課題解決のためのマーケティングを提唱する独立系シンクタンク「ミライニウム」を主宰するマーケティング研究者。コピーライター、雑誌ライター、プランナーとして30年以上にわたり、マーケティングの実践および研究を続けている。北軽井沢隣接宣伝研究所所長。