広告はある種のハプニングです。
それは生活者の前に突然現れ、有限な脳内メモリを暴力的に占拠する、いわば歓迎されざる訪問者です。広告が嫌われる最大の理由もそこにあります。
と同時に巧みに制作された広告はそれに接する者に新鮮な驚きと洞察、そして発想の転換をもたらしてもくれます。すなわち現代における広告は非日常との偶然の出会いであり、退屈な日常をシャッフルしてくれるある種の知的エンターティメントでもあるのですーー。
そうはいいながらも、バブル時代をピークに日本の広告、とくにテレビや新聞をはじめとするマス媒体と呼ばれる伝統的な広告はその質量ともに凋落の一途をたどっているように見えます。実際、最近の日本の広告がさっぱり面白くないばかりか、時に不快でさえあると感じるのは私だけではないように思います。
その一方、目を海外に転じてみれば世界にはまだまだ面白く、そしてセンスのよい広告があふれています。そこではいまもなおアイディアに富んだパワフルな広告を目にすることができるのです。
そんなパワフルでアイディアに満ちた世界の広告をいくつかご紹介します。
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飲むなら乗るな
拳銃の弾丸のひとつがウイスキーの入ったグラスになっています。酒酔い運転はたしかにロシアンルーレットと同様、死を賭けた無謀な行為といえるでしょう。
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白の勝ち！
チェス盤上で対峙しているのは、きれいに漂白された洗濯物とそれを汚す悪玉たちーー。いままさに洗濯物陣営が勝利しました。
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全部食べたわね！えらいわ！さあテレビを見てもいいわよ！
食べ終わった皿の底には母親のメッセージが‥。パイロットの耐水性ボールペンの広告です。
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私たちならすぐにお届けできます
南アメリカから北アメリカまで、ひょいと手渡しするようにすぐお届けしますよということを直感的なビジュアルで表現しています。
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毎年１５０万人の子供たちが汚水のために命を落としています。
世界には、きれいな水が入手できず、汚水を飲まざるを得ない子供たちがいます。その汚水で命を落とす子供たちが大勢いることをキノコ雲の形をした水という衝撃的なビジュアルで表現しています。
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いじめっ子を見返してやれ！
君はサンドバックにされたままでいいのか？ うちで武術を習えばいじめっ子どもを見返してやれるぞ。
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臨場感たっぷり！
まるでそこにいるような臨場感が味わえますということを印象的なビジュアルのみで表現しています。
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息を呑むほどの臨場感が味わえます
ライオンの顔の女性？ いや車のすぐ近くにライオンがいるんだ！ トリックアートのようなビジュアルからはそのスリルが臨場感たっぷりに伝わってきます。
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行く前に知っておくべきだった‥
知らずに行ってみたらひと気のない不気味なお墓だった‥。Googleストリートビューの広告。
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脂肪分はわずか4.9％
フライドポテトのシーソー。その上のホイップが低脂肪であることを視覚的に表現しています。
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広角レンズなら誤解されません
いや僕は女性の後ろ姿を撮っているんじゃないからね‥。
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何も心配はいらない
白のタキシードを着て中華料理をつくったってこの洗剤があれば何も問題はない。
売るためのマーケティングから課題解決のためのマーケティングを提唱する独立系シンクタンク「ミライニウム」を主宰するマーケティング研究者。コピーライター、雑誌ライター、プランナーとして３０年以上にわたり、マーケティングの実践および研究を続けている。北軽井沢隣接宣伝研究所所長。
