【質問2】
ユーザーには誰を想定していますか?
そのサイトが対象とする相手が誰なのかを明確にしましょう。その際、質問1で明らかになったサイト内容・目的をもとにそれらにふさわしいユーザーは誰か、その性別、年齢、性格、嗜好等の属性は何かと探ってみてください。またターゲットとなるユーザーが複数のセグメントに分けられる場合は、メインターゲットとその他のサブターゲットに分けたうえで、それぞれのターゲットごとにその属性を探るようにしてみましょう。あらためて問われてすぐに答えられないのは、どこかに問題がある可能性大です。すぐに答えられる場合でも、いま一度客観的な立場からあらためて見直してみましょう。
その他の回答例:20~30代の女性グループ、中小企業の経営者、就職を希望する大学生、個人投資家等
【質問3】
ユーザーの人物像をできるだけ具体的に描いてみてください。
対象となるユーザーが明らかになったら、次にその典型的な人物のより具体的な像を描いてみましょう。できるだけ具体的にかつ詳細にイメージしてみてください。その人の年齢は? 仕事は? 業種は? 役職は? 年収は? 家族構成は? 趣味は? 悩みは?いま関心をもっていることは、等々、できるだけ具体的に書き出してみてください。ポイントとなるのは、その人物があなたのサイトを使うのは「なぜ」なのか、他のサイトではなくあなたのサイトから購入するのは「なぜ」なのかという視点です(質問2では「誰が」にフォーカスし、質問3では「なぜ(サイトを利用し、そこで購入するのか)」にフォーカスしています)。もし具体的な人物像をイメージするのが難しいと感じるなら、それはターゲットユーザーの設定自体が間違っている可能性があります。ここで行き詰まるようなら、質問2からもう一度やり直してみてください。なお、本来であればその描写には1,000以上の文字数がほしいところですが、ここではスペースの都合上2~3行程度で簡潔にまとめるようにしてください。
【質問4】
サイトが提供する商品・サービスに対して、ユーザーがもっとも望んでいるものは何だと思いますか?優先度の高い順に挙げてください。
→優先度1位(旅館の例:雰囲気)
→優先度2位(例:料理)
→優先度3位
(例:接客サービス)
→優先度4位 (例:価格)
→優先度5位 (例:近くにある観光スポットへのアクセスの良さ)
サイトにアクセスしたユーザーが、そこでなにを重点的に探しているのかを明らかにします。サイト運営者側の一方的な思い込みはいったん脇に置き、ユーザーが何を求めているのか、その真のニーズを探るようにしてみてください。その際、質問3で描いた人物像が役に立ちます。その人物になりきったつもりで、あくまでユーザーの視点に立って考えてみましょう。なお、ここは効果的なホームページをつくる上で、きわめて大事なポイントです。ここでどれだけ正しい回答を見つけ出せるかが、最終的にホームページの成否を左右することになります。
【質問5】
戦略キャンバスを使って価値曲線を描いてみてください。
自社サイト
競合サイト
戦略キャンバスは、市場における商品の位置づけを直感的に把握するためのツールですが、これはサイトの戦略づくりにも応用可能です。戦略キャンバス上に描かれた価値曲線を見れば、自社サイトが市場でどのようなポジションを得ているのか、また将来どのようなポジションを獲得すべきなのかが視覚的に読み取ることができます。
◎入力方法
まず一番下の行の「価値軸」に、質問4で列挙した「優先度1位~5位」をそのまま入力してください。そして、自社商品が実際に提供できていると思われるレベルにチェックを入れてください。その上で、これらのチェックを結んだ折れ線グラフを頭の中に描いてみてください(残念ながらシステムの制約上、折れ線グラフは表示されません)。描けましたか?
ここでさらに競合サイトについても同様に記入してください。その上で、これら二つの折れ線グラフを重ね合わせるよう再度頭の中でイメージし直せば、自社サイトの強みと弱みが見えてくるはずです。
※レベルを決める際、なにを基準にすればよいのか悩んでしまうことがあります。本来、戦略キャンバスはある程度絶対的な基準をもとに描かれることが望ましいのですが、ここで私たちが探ろうとしているのは絶対的な基準ではなく、競合各社との相対的な違いにすぎません。ですので、ここではあまり深く考え込まず、むしろ直感的に選んだ方がよいでしょう。それでも難しいようであれば、業界の一般的なサービス水準をレベル3として、それに対して上か下かという基準でざっくりと選んでかまいません。
※描いた戦略キャンバスから明確な差異が読み取れない場合、それは価値軸がカバーする領域が広すぎるせいかもしれません。その場合、価値軸を細分化することで新しい価値軸を作り出すようにしてください。(例:料理→和食・イタリアン 接客サービス→送迎サービス)
【質問6】
戦略キャンバスをもとにあなたのサイト(またはそこで売られている商品)が強みをもつ最大の価値軸をひとつ選んでください。
戦略キャンバスに描いた価値曲線を見比べながら、自社サイトがライバルサイトに勝てるポイントを見つけましょう。自社サイトとライバルサイトとのレベル差がもっとも大きい価値軸(=優先度項目)がそのポイントになります。ポイントが複数ある場合も少なくありませんが、ここではひとつに絞ってみましょう。複雑な問題もあえてシンプルにすることで、かえって明確な答えが見つかるものです。
【質問7】
質問6の強みをもっと具体的にいうとどうなりますか?
強みは具体的であればあるほど強力な説得力をもちます。ここでは、質問6で出てきた強みをできるだけ具体的な事実やモノに還元してみましょう。
【質問8】
質問7の強みを裏づける事実には何がありますか?
事実1
事実2
事実3
強みは裏付けがあってはじめて説得力をもちます。質問7の強みを裏づけるのはいったい何か、これもできるだけ具体的に挙げてみましょう。
【質問9】
サイトを通してどのような行動をユーザーから引き出したいですか?
サイトを通して最終的にユーザーにしてほしいと望む行動、すなわちサイト目標はなんでしょうか。具体的な行動あるいは数値として示してください。通販サイトであれば、商品の購入でしょうし、レストランなどではネットからの予約ばかりでなく直接的な来店人数ということも目標になるはずです。
その他の回答例:カタログ請求、就職説明会への参加等
【質問10】
ユーザーにその行動を促す上で効果的な説得材料は何ですか? おそらくそれは、質問7と質問8で得られた事実のなかにあるか、あるいはそれがヒントになるはずです。それらのうちもっとも説得力があると思われる材料をひとつ選んでください。
これはインサイトに関する質問です。インサイトとは、ユーザーが行動を起こす際の動機となるものであり、そこを刺激することでユーザーの行動を促せる心のツボのようなものです。ここではそのツボがいったい何であるかを考えてみましょう。質問3で描いたターゲットの人物像をもう一度思い返してみてください。自分だったら何にもっとも動機づけられるか、その人物になりきったつもりでその心の奥底を探るようにしてみてください。思いもよらないものがツボだったという発見があるかもしれませんよ。
その他の回答例:その食材には、健康上の悩みを改善する成分がどこよりも多く含まれている(食材の通販サイトの場合)。
【質問11】
質問7の強みと質問10の説得材料をもつサイトを人物にみたてたら、どんな雰囲気の人をイメージしますか? その際、強みをその人の「能力」、説得材料を「キャリア」と見立てて、その人から受ける印象(=性格)を想像してみてください。
これはサイトのブランド戦略、とくにサイトパーソナリティを探るための質問です。人間の脳には、相手が無生物であってもそこになんらかの人格を投影して認識する仕組みがあるといわれています。ユーザーは商品のキャラクターを無意識のうちに感じ取っています。そうして、そのキャラクターが自分とそりが合うか合わないかを瞬時に判断しているのです。ブランド戦略においてブランドパーソナリティ(商品の人格要素)が重要とされるのもそのためです。同様に効果的なホームページをつくる上でもサイトパーソナリティはきわめて重要です。サイトを閲覧した際、どのような印象をそこから受けるかによってユーザーの行動も無意識のうちに左右されてしまうからです。
【質問12】
最後の質問です。そのサイトを通して社会にどんな幸せをもたらしたいですか?
これはビジョンに関する質問です。ビジョンは先にふれたブランドパーソナリティともあいまってサイトの世界観を形作ります。お客様は商品やサイトそのもの魅力だけでなく、そこに込められたビジョンや世界観をも評価の対象としています。実際、品質や性能面はさておきその世界観に魅力を感じたからという理由で商品を購入するお客様は最近増加傾向にあります。その意味でビジョンは、もうひとつのスペックといえるでしょう。そしてそれは企業の社会的責任が問い直される中、ますます重要な指標となりつつあります。