繁盛するネットショップの作り方

AIDMAモデルを活用した繁盛するネットショップの作り方

ホームページで売上を伸ばすための効果的な表現方法とは?

誰もが知りたかったその秘密を、広告制作理論として有名なAIDMA理論によって分析した画期的なネットショップ制作講座。ウエブマーケティングの本質からはじまり、欲求喚起 の手法、さらに信頼付与から購買促進の手法まで、繁盛するサイトを作るために欠かせない表現テクニックを理論と実践の両 面からわかりやすく解説しました。2000年に執筆されたも のであり、一部情報が古くなっているところもありますが、全体としてみれば今も十分に通用する内容であると自負しておりま す。

本稿は、SBSPressのビジネスインターネットシリーズ 『EコマースSUPERマニュアル』(株式会社バーチカル システム/2000年6月23日発行)に掲載された記事に加 筆修正したものです。

第1章 ECサイトにおける基本的なマーケティング理論

■ショップサイトデザインに「目立つ」ことは不要
■ECビジネスで一番重要なのは商品と店の信用
■AIDMA理論を応用してサイトを構築しよう

ECサイトのマーケティングモデルは八百屋さんと同じ

ECサイトなどというと、なにか特別なものと思い身構えてしまう人がいるかもしれない。しか し最初はそう難しく考える必要はないだろう。なぜなら、ECサイトといっても商売のしくみで いえば、従来のお店と本質的にはなにも変わらないからだ。

たとえば、近所にある八百屋さんの場合をみてみよう。そこでの業務を大雑把に分析すると基 本的に、「集客」「販売」「フォローマーケティング」の三つの部分からなることがわかる (図1)。このうち、中心となるのはいうまでもなく販売の段階である。これは客として接す る私たちにもおなじみの段階だ。

しかし、当然ながらモノを売るためには、その前提としてお客さまに来店してもらわなければ ならない。これが集客段階になる。さらに新規のお客さまだけを相手にするのでない限り、一 度買ってくれたお客さまをリピーターへと育てることも必要だろう。これがフォローマーケテ ィングの段階となる。具体的には、商品を渡す際、「奥さん、今回はおまけしときましたよ」 と耳もとでささやくことなどもこれに相当する。

以上は、八百屋を例にとった一般的な商店のケースだが、ECサイトも基本的にはこれと同じで ある。すなわち、ECサイトの場合、売り場が現実の「店鋪」からネット上の「ウエブサイト」 に変わっただけで、商売の基本的なしくみという部分ではなにも変わっていないのである。

似ているようで異なる店鋪デザインとウエブデザイン

ところで、ウエブサイトが基本的に店舗と同じものであるとすれば、その制作にあたって必要 とされるのは、一般にイメージされているようなカタログ制作のノウハウではなく、むしろ店 舗設計のノウハウではないかと考えることもできる。理論的にいえば、それはかなり的を射た 考え方である。だが、ここで指摘しておかなければならないのは、それでも両者の間にはいく つかの点で重要な違いがあることである。なかでも最大の違いは、一般の店舗の場合、「集 客」をその目的のひとつとして設計されている、という点である。

このことは、店舗設計において、なによりもまず目立つこと—それによって遠くからでも視認 しやすく、かつ他店との差別化をはかり最終的に来店を促す—がその大きなデザイン要素とな っていることからも理解できるであろう。 いっぽう、ウエブサイトの場合、そのような目立つ ための–つまり集客のための—デザインは不要である。というのも当たり前で、いくらウエブ サイトのデザインが目立つようにつくってあったとしても、誰も事前にそのデザインを見るこ とはできないからだ。

ここからわかることは、あるサイトをはじめて訪れる際、そのデザインに魅かれたからという のはありえないということである。そしてじつは、この「サイトには集客のためにデザインは 不要」という部分が一般の店舗とウエブサイトにおけるデザイン上の最大の違いなのである。

AIDMA理論からみたECサイトでの購買プロセス

このあたりを整理するため、ここで別の視点からECサイトをながめてみよう。それ は、AIDMA理論による視点である。マーケティングにおける購買プロセス分析に関してはいく つかのモデルがあるが、なかでも有名なのがAIDMA理論である。 AIDMA理論によれば、消費 者はまず広告情報や店頭陳列などによって商品を認知し(Attension)、興味を抱き (Interest)、ついで欲しいという欲求が喚起され(Desire)、さらにそれを記憶し (Memory)、最終的に購入に踏み切る(Action)とされている。

しかし、それがはたしてECサイトにもそのままあてはまるものだろうか。ここでECサイトに おける購買行動プロセスをこのAIDMAに沿ってあとづけてみよう。 まず最初にお客さまが接 触するのは、検索エンジンや各種広告(ここにはテレビや新聞、雑誌広告、さらにはメールマ ガジンの広告やバナー広告などがふくまれる)、また他のサイトに張られたリンクなどであ る。

こうした「告知情報」はその時点でECサイトに対する注意を引き、アクセスしてみよう、とい う興味をひきおこす。これはAIDMAでいえば、最初のAttensionとInterestの2段階に相当する。 ここでもしお客さまの注意を引き、興味をもたせることができたら、とりあえず前半部分は成 功だ。あとはアドレスを入力するなり、リンク部分をクリックするなりして自分でアクセスし てくるだろう。

いったんアクセスしてきたお客さまがつぎにとる行動はいったい何だろうか。それはおそらく トップページをざっとながめながら、そこに欲しい商品があるかどうかを探しだすことであろ う。そしてもしそこに欲しい商品があった場合、お客さまは商品説明文をじっくり読んで購入 を検討するはずだ。これがDesireの段階である。 ところでAIDMA理論によれば、つぎ にMemoryという段階がくるのだが、ECサイトの場合、これはそう重要ではない。そのかわり ここでは、確信(Conviction)という段階をもってこよう。というのは、最近の消費者は一般 に商品がいかにいいものであると「理解」としたとしても、それが本当にいいものであるとい う「確信」がえられなければなかなか購入にふみきらない、といわれるからだ。

またこの確信は、とりわけECサイトにおいてはきわめて重要な要素となる。それは、ECサイ トというものが、まだそれほど大きな信用を勝ち得ていないがためである。 注文したのに、商 品が届かない—。偽物をつかまされた—。実際こういった苦情が絶えないECサイトの世界にお いては、なによりもまず信用のあるなしが重要になってくる。しかし、これを裏返していえ ば、信用をいかにアピールするかがECサイトにおける成功のひとつのポイント、ということが できるだろう。

 

ウエブサイトに必要なのは販売を目的とした3要素

さて、このConviction段階における具体的なテクニックについては後述するが、ここではとり あえずお客さまの確信が得られたとしよう。次にお客さまがとるのはどんな行動であろうか。 そう、注文である。ここまでくれば、お客さまは一刻もはやく商品を手にいれたいと思ってい るはずである。そうであれば、サイト側のここでの役目は何だろうか。それは、お客さまの前 に注文フォームをさしだし、できるだけすみやかに注文ボタンをクリックすることであろう。 これがAIDMAでいうActionである。

ここで、このAIDM(C)Aを前述したECサイトのマーケティングモデルにあてはめてみよう。 図3をみていただきたい。AとIは「集客」に、DCAは「ウエブサイト」に相当することがわか る。先に「ウエブサイトには集客のためのデザインは不要」といったが、そのことはこのあた りからも理解してもらえるのではないだろうか。

ところで、このようにECサイト全体をAIDMAによって分析することは、ECサイトを制作する 上で大きなヒントをあたえてくれる。それは、ECサイトにおけるウエブサイトの位置づけを明 らかにしてくれるばかりか、同時にそこに盛り込むべき要素をも明らかにしてくれるのだ。そ う、ウエブサイトというものは、原則として「集客」よりも純粋な「販売」を目的にデザイン されるべきであり、またそこには最低限、Desire、Conviction、Actionの三つの要素が盛り込ま れていなければならないのである。

第2章 コンセプトの良し悪しが販売力を左右する

■2万店のライバルに負けない特色をもて
■得意分野で市場を作り、トップシェアを握る
■一言で表せないものはコンセプトではない

ECサイトの個性となるコンセプト作りが重要

オンラインビジネスに参入することは、そう難しいことではない。いまや市販のホームページ 制作ソフトを利用すれば、難しいHTML言語など知らなくとも、誰でもオンラインビジネスに 参入することそれ自体は、そう難しいことではない。いまや市販のホームページ制作ソフトを 利用すれば、難しいHTML言語など知らなくとも、誰でもそれなりのサイトが作れるからだ。 だが、この参入が容易であるということは裏をかえせば、それだけ競争が激しいというでもあ る。実際、オンラインショップの歴史は、せいぜい5年程度でしかない。にもかかわらず、そ の出店数はうなぎのぼりで増え続け、2000年4月現在、日本国内だけですでに約2万30 00店にまで膨れ上がっている。

これから新たにオンラインショップを立ち上げる人は、まずこうした厳しい現実を直視する必 要があるだろう。すなわち、仮に立ち上げた当初は、ライバル店がなかったとしても、遅かれ 早かれ、競合店がかならずあらわれる、ということをあらかじめ想定しておかなければならな いのだ。

では、こうしたし烈な競争に勝ち抜くには、どうすればよいのだろうか。そこで重要になって くるのが、コンセプトである。 コンセプトというのは、ビジネスの核となるアイディアであ り、それを具体化するための方向性である。オンラインショップにかぎっていえば、その店な らではの個性といってもよい。

自社をアピールできる差別化のポイントを探し出す

さてこのコンセプトをつくる際、重要なのは、差別化という考え方である。先ほどネット上に は、いくつもの競合サイトがあると述べたが、新規参入者がお客さまの心をがっちりとつかむ ためには、まずそれらライバルサイトとの差別化をはかる必要がある。すなわち、よその店に はない自分の店ならではの特徴を積極的にアピールしなければならないのだ。この自分の店な らではの特徴が、差別化のポイントである。

それは、よその店より品揃えが豊富である、ということかもしれない。またある特定の分野に しぼった専門的な店である、という点かもしれない。さらに品揃えは同じでも即日発送といっ たサービス面での違いも立派な差別化のポイントになる。

それでは、自店ならではの差別化のポイントをみつけるには、どうすればよいのだろうか。ま ずは、最初に自らのセールスポイントをきちんと整理しておくことだ。その上で、ライバルサ イトをじっくり検討し、それらのどの店もアピールしていないような差別化のポイントを探し 出すのだ。そしてそのポイントが、もし自分の店で実現可能であれば、それを核としてユニー クなコンセプトをつくりあげることができるだろう。

ただし、その際、注意しなければならないのは、現時点で差別化をはかることができても、後 発サイトが出てくれば、それにすぐとってかわられるような安易な差別化のポイントは避ける べきだ、という点である。そこで、賢明なのは、自社の得意分野の中に差別化のポイントを求 めることである。こうしておけば、いかに後発サイトが出てこようと、そうかんたんにお株を 奪われる心配はないはずだ。

ところで差別化がいくら重要だからといっても、消費者にとって意味のない差別化ではそれこ そ意味がない。差別化のポイントは、あくまでも消費者になんらかの利便性をもたらすもので なければならない。うまい、安い、は差別化のポイントになっても、まずい、高い、は差別化 のポイントにはならないのだ。 じつはこのあたりは「市場性」というものと深く関わってい る。市場性というのは、そこに市場があるか、ないかというほどの意味であるが、いかに他店 と差別化できるポイントがあったとしても、そこに市場がなければ、それはただの一人よがり にすぎない。したがって、差別化のポイントを考える際は、むやみやたらと他店との違いを強 調するのではなく、必ずそこに市場があるかどうか、あるとすればどのくらいの規模かを常に 計算にいれながら、適切なポイントを慎重に選び出すことが大切といえるだろう。

市場細分化戦略で市場一番店をめざす

差別化ということでいえば、もうひとつ重要なことがある。市場一番店をめざすということ だ。このところ市場は、一社による一人勝ちの様相を強めており、従来それほど差のなかった 一番手と二番手との距離が極端に大きくなってしまう傾向にある。こうした傾向は、とくにネ ット市場に多くみられ、しばしば一番手による独占市場が形成されている。こうした中、市場 によっては一番手以外、ほとんど利益が出ず、二番手、三番手はやむなく撤退せざるをえない というところも少なくない。

それでは、これから市場に打って出ようという後発サイトにはもはやチャンスはないのだろう か、といえば、もちろんそんなことはない。では、どうすればよいのだろうか。この場合も、 鍵となるのは、差別化である。だが、先ほど説明したのは、あくまでも同じ市場で戦うことを 前提とした差別化であった。しかし、ここで求められるのは、商品やサービスに関する差別化 ではなく、市場そのものの差別化である。マーケティングの用語でいえば、市場細分化といわ れる戦略である。

これは要するにライバルと同じ市場で戦うことを避け、かわりに自らにとって有利な新しい市 場を創りだそうという戦略である。たとえば、ここにふとん全般を扱う店があるとしよう。も しこのふとん屋が品揃えをもっと豊富にしたり、配送期間を短くするといった方向で自店の付 加価値を高めようとした場合、それは差別化戦略と呼ばれる。それに対して、たとえばペット 用ふとんなるものを開発して売り出したとしたら、それは市場細分化戦略である。

前者は、あくまでもふとん市場という従来と同じ市場で戦うことを前提とした戦略であり、後 者はペット用ふとん市場という新しい市場を創りだすことを主眼とした戦略だからだ。この市 場細分化戦略のよいところは、みずからが得意とする土俵で戦うことができることと、最初か ら一番手としての有利なポジションがえられるところにある。

コンセプトはアイディアの核であり、同時に表現の核である

さてこうした差別化のポイントをいくつか組み合せ、そこに優先順位をつけることによって、 しだいにコンセプトのもとになるイメージができあがってくる。それをさらにあらゆる側面か ら検討し、練り直し、煮つめなおすことによって最終的に「コンセプト」がつくられることに なる。

ところで、ここでひとつ注意しなければならないことがある。それは必ず「○○○をコンセプト とした×××の店」というふうに、ひとことで表現されなければならないことだ。ひとことで表 現できない、というのはコンセプトとしてまだ完全に昇華されていない証拠である。それに、 ひとことでわかりやすく表現できないというのでは、そもそもお客さまに対しても「なんだか よくわからない店」というマイナスの印象を与えてしまうおそれがある。

その点、コンセプトというのは、アイディアの核であると同時に表現の核でなければならな い。つまり、コンセプトというのは、アイディアやそこから派生するさまざまなイメージをか んたんな言葉に凝縮させたものであり、一方、サイトデザインというのは逆にこのコンセプト を再度、展開しなおし、そこにふくまれるメッセージやイメージを表現レベルで再び具体化す る作業といえるだろう。

したがって、コンセプトを表現レベルで具体化することに成功しているサイトは、ひと目で何 の店かよくわかる。反対に、パッと見てなんだかよくわからないというサイトは、コンセプト を表現レベルで具体化させることに失敗しているか、あるいはそもそもコンセプト自体があい まいだったかのどちらかである。いずれがすぐれたサイトかはいうまでもないだろう。

 

第3章 お客さまを「買う気」にさせるWEBサイトの構成

■トップページでお客さまを逃がすな
■全情報とコンテンツを1ページに収める
■注文フォームまでは最長でも2クリックで

ネットの3秒ルールを意識したトップページ5つの要素

ウエブサイトをはじめて訪れた人は、そのサイトを最初の3秒で判断するという。いわゆるネ ットにおける3秒ルールだ。このルールは、ECサイトにも当然あてはまる。お客さまは、最初 の3秒間でそのECサイトが「買うに値するかどうか」を判断してしまうのだ。では、お客さま は何をみて「買うに値するかどうか」を判断するのだろうか。それはおもに次の5つの要素で ある。

このうちもっとも重要なのが、商品情報である。ECサイトである以上、これは当然であろう。 実際、お客さまにしてみれば、ようやくたどりついたトップページでただちにお目当ての商品 情報にアクセスできない、というのは気分的にもかなりもどかしいものだ。

次に重要なのが、信用情報である。第一章でものべたように、いまの消費者は、いくら商品が いいものであると理解したとしても、それが本当にいいものであると確信できなければ購入に はふみきらないといわれる。そこで必要になってくるのが、信用情報である。この信用情報に はふつう、サイト(すなわちサイトの運営母体)に対する信用情報(ブランドイメージ)と商 品自体に対する信用情報の2つがある。このあたりの具体的な表現テクニックについては、の ちほどあらためて説明しよう。

さらにもうひとつ重要な要素がある。それは、店のポリシーだ。これはつきつめていえば、店 のコンセプトのことであるが、このポリシー=コンセプトもまた訪れる人に対してトップペー ジで瞬時に理解されるようにしなければならない。それは商品そのものの価値に、その店なら ではの付加価値を加える重要な要素であり、同時に他店と差別化するうえでもきわめてたいせ つな要素である。

以上のみっつが、お客さまがECサイトを判断するための三大要素というべきものであるが、必 要な要素はもちろんそれだけではない。なかでも欠かせないのが、「おもてなしの心」だ。こ れはECサイトといえど商売である以上、絶対に忘れてはならない基本中の基本である。仮に表 面的なデザインがいくらすばらしいものであっても、このおもてなしの心が感じられないよう では、ECサイトとしては失格だ。逆にデザインはいまいちでも、このおもてなしの心一本槍で 大きな売上をあげているショップもけっして少なくない、ということを肝に銘じておくべきだ ろう。

さらにもうひとつ、トップページに必要な要素をあげるとすれば、ブランド(サイト)イメー ジがある。ここでいうブランドイメージというのは、サイトデザインがかもしだすその店なら ではの雰囲気といった程度の意味であるが、それはさきにあげた店のポリシーと同様ライバル 店との差別化をはかるうえでたいせつな要素である。またこのブランドイメージは、訪れた人 の記憶に強い印象を刻み込み、再訪問を促すことができるという点でも重要である。

サイトのページ構成は動線計画に基づいて設計する

店鋪設計の世界には、「動線」あるいは「回遊ライン」という概念がある。これは、入店した 客をどのような道すじでレジまで導くのが効果的かという考え方のことだ。一般に繁盛してい る店は、例外なくしっかりした動線設計に基づいてレイアウトされている。 この動線計画 は、ECサイトにおいても重要なポイントとなる。仮にこの動線計画がいいかげんなものであっ たら、お客さまは商品を購入するどころか、サイト内で迷子になってしまうだろう。

では、ECサイトの場合、どのような動線計画がよいのだろうか。理屈からいえば、それ はAIDM(C)Aの流れにそったものがのぞましい。 これを図示すれば次のようになる。

浅い階層のページ構成で面倒なクリックを回避する

だが、ことはそうかんたんではない。そこにはクリックにまつわる問題があるからだ。一般に トップページにアクセスした人が次のページへ進むためにクリックする割合は、半分以下とさ れている。もちろん工夫しだいでは、このクリック率を高めることは不可能ではない。だが、 そこにはおのずから限界がある。クリックして次のページを開くという行為は、回線速度など の問題で現状ではまだかなりのストレスとなるからだ。したがって、ウエブサイト、とりわ けECサイトでは、できるだけクリックを避けるようにしたほうがよい。

では、どうすればこのクリックを避けることができるのだろうか。それには、サイトの階層を できるだけ浅くすることである。理想的なのは、クリックなしで商品情報から信用情報、そし て注文へといっきにたどりつけるように、すべての情報・コンテンツを1ページ内におさめて しまうことだ。ただ、そうなるとむやみスクロールが長くなるし、ページ自体も重くなる。そ のためふつうはいくつかのページに分割するわけだが、その際もできるだけツークリックで注 文フォームへとたどりつけるよう—すなわちトップページー商品ページー注文ページという3 階層——-にするのがのぞましい。

それでは信用情報はどこに入るのか、といえば、このあたりはケースバイケースである。ふつ うサイトの信用情報は、クレジットカードのアイコンなどと一緒にトップページにまとめて表 示されることが多いが、商品自体に対する信用情報(お客さまの声など)については、別に専 用ページをもうけ、トップページあるいは商品ページからワンクリックで飛べるようにしてい るケースが多いようだ。またこの信用情報がそれほど情報量として多くないのであれば、商品 情報とならべて商品ページ上に掲載するという手もある。

アクセスしてきたお客さまは即座に商品の前に導く

ここで視点を変えて「好ましくない」トップページの例をみてみよう。よくいわれるのは、画 像が大きくてページが重いもの、あるいは特殊なプラグインソフトがないと表示されないもの などだ。だが、それと同じくらい、あるいはそれ以上に「好ましくない」のは看板(ロゴ回 り)とクリックを促す「ENTER」ボタン以外、何もないトップページである。こういったペー ジのなかには、たしかにシンプルで洗練されているものもある。だが、それはデザインそのも のが商品であるデザイン会社などには許されても一般のECサイトには許されない表現である、 ということをここであらためて肝に銘じておくべきだろう。

ここで再びAIDMAをもちだすが、トップページにアクセスしてきたお客さまはふつうすでにな んらかの興味をもっていると想定してよい。それは現実の店鋪でいえば、すでに入店してきた 客なのである。そう考えれば、すでに扉を開けて入ってきたお客さまの前にさらにもうひとつ 重々しい扉を示して「入ろうか入るまいか」を悩ませるのは、ナンセンスというものであろ う。いったん入店した客に対して店鋪側がとるべき次の行動はいったいなんだろうか。それは 「さあ、ここにお探しのものがありますよ」とお客さまがお目当てとする商品の前までただち に導くことであるはずだ。

第4章 効果的なデザインとコピーでお店を繁盛させる

■ページを重くする画像は最低限に抑える
■重要な情報は一目で分かるデザインに
■心のこもったコピーが信用につながる

「~らしさ」が大事なサイトデザイン

たとえば、ここに二軒のそば屋があるとしよう。いっぽうは、純和風のつくりでいかにもそば 屋といった雰囲気の店である。それに対して、もういっぽうは、以前喫茶店だった建物を改造 したものらしく、そば屋というよりはやはり喫茶店の雰囲気が残っている。もしあなたが、お そばを食べるとしたら、どちらを選ぶだろうか。もちろん、味やサービスについては何も知ら ないという前提の上でだ。

おそらく、ほとんどの人は、和風の店を選ぶだろう。なぜか。それは和風の店のほうが、そば 屋らしいと思うからである。ではなぜ、そば屋らしい店が、そうではない店とくらべて魅力的 にうつるのだろうか。それは、頭の中にあらかじめ「そば屋とはこうあるべきだ」という理想 的なイメージがすでにインプットされていて、それをもとに「これはそば屋らしいかどうか」 を判断するからである。つまり、和風のいかにもそば屋らしい店のほうが、客が理想とするそ ば屋のイメージに近いため、「これはきっと本物のそば屋に違いない」と判断するわけであ る。

この「~らしさ」というのは、じつは店鋪デザインにかぎらず、あらゆるデザイン分野に共通 する基本的な手法のひとつである。そして、それはいうまでもなくECサイトの表現においても 重要な手法となる。その点、この「~らしさ」がどれだけうまく表現されているかは、サイト デザインの良し悪しを判断するひとつの目安といってもよい。

スムーズな表示のために画像の重さに気をつける

画像が大きいとそれだけ表示速度が遅くなるというネット特有の問題については、すでにご承 知のことと思う。では、それはどのくらいまでなら、許容範囲なのだろうか。 このあたりは回 線速度の問題があって、いちがいにこうだとはいいきれない。現在はもっと重いものでも構わ ない)。要は全体としてあまり重くならないよう、心がけるしかないだろう。

また画像が重いことイコール悪ととらえる向きも多いようだが、これも必ずしもそうとはいい きれない面がある。たとえば、商品写真などは、できるだけくっきりとした鮮明なものを見た いというのが人情だろう。そのためそうした重要な商品画像については、きちんとした情報を 伝えられるのであれば、少々表示速度が遅くなってもかまわないはずだ。というのも、本当に その商品を買いたいと思っている人であれば、少々の待ち時間は苦にならないからだ。要はど れを大きくし、どれを小さくするか、それぞれの画像に対して表現上の優先順位をつけること が大事なのである。

「にぎわい」は重要

一般にオンラインショップの場合、デザイン的にシンプルすぎるサイトよりもにぎわいのある サイトのほうが、繁盛しているケースが多い。シンプルすぎるサイトというのはどうしても冷 たく、よそよそしい感じになりがちで、購買意欲をそそらないからであろう。これに対して、 にぎわいのあるサイトは、温かく、活気にあふれ、思わず買ってしまう勢いをもっている。 と はいえ、そこにはきちんとしたデザイン法則、すなわち視線の誘導という基本的な法則が働い ていなければならない。視線の誘導というのは、単純にいえば見てもらいたい情報のありかを 明確に示すことであり、どこに何があるかが一目でわかるようにすることである。

もし、この基本的なデザイン法則を欠いたまま、無理にページににぎわいをもたせようとする と、商品情報などの重要な情報が埋没してしまい、かえって逆効果となる。その点、商品情報 が埋没してしまうよりは、シンプルなデザインのほうが、デザイン的に少々そっけないとして も、きちんと商品情報を伝えられるだけよほどましといえるだろう。

写真は使用中のものを使いリアル感を演出する

商品写真の基本は、使用中の写真である。たとえば、食品であれば、実際にそれを食べている 写真を使うべきだ。そのほうが、たんに食膳にならべただけの写真よりも食欲をそそること は、両者を見比べれば誰しもうなづけるだろう。もっとも食事中の写真をあからさまに見せる のはあまり品がない。そこで、たとえば、料理をハシでもちあげたり、タレにつけたりしてい る場面を見せるという手もある。場合によっては料理皿の上にハシをそえただけでもずいぶん 雰囲気が違うものである。

売上を大きく左右するコピーの力をあなどるな

じつのところ、ECサイトにとって重要なのは、デザインよりもむしろコピーライティングであ る。実際、デザインはいまひとつだが、コピーの力で売っているオンラインショップは少なく ない。反対にデザインがいくらよくてもコピーがいまいちという店が繁盛しているという話は まず聞いたことがない。 実際、コピーの言い回しひとつで売上が変わることはめずらしくな い。

ここで紹介したいのが、アメリカの有名なコピーライターの言葉である。 「ひとつの広告が他の広告の2倍や3倍ではなく、19倍半も販売力が強かった経験がある。 どちらの広告も同じスペースを占めており、同じ出版物に掲載され、同じ写真を使っていた。 そして、どちらのコピーも注意深く書かれていた。その違いといえば、ひとつの広告が正しい 訴求をしていたのに対し、他は間違った訴求をしていたことだ」(『テストされた広告法』J・ ケープルス著/殖栗文夫訳/実業の日本社/昭和29年)

ここでいう訴求の違いというのは、結局、コピーの違いといってよい。つまり、それほど、コ ピーの力というのは、無視できないものなのである。

思い入れのあるコピーを書こう

しかし、そうはいっても誰でもプロ並のコピーが書けるわけではない。そこで、ここでは比較 的やさしい、それでいて効果的なコピーの書き方を伝授しよう。 それは、商品への愛着やこだ わりを自分の言葉でとつとつと訴えかけるように書くことである。商品に愛情をもつ店主が自 らの言葉で、お客さま一人ひとりに語りかけるように書いたコピーは、たとえそれが稚拙な表 現であっても、その稚拙さがかえって好感を呼ぶものだ。

もちろん、それは自慢話めいたもの ではいけない。それではかえって反感をもたれるだけであろう。そうではなくて、あくまでも 商品に対する愛情を中心に、誠実で控えめなタッチで切々と綴っていくのである。 こうしてで きあがったコピーは、表現としてはたしかにいまひとつかもしれない。だが、その説得力は時 に、プロのコピーライターが書いたものを上回るはずだ。というのも、コピーライティングに おいて重要なのは、最終的に「どういうかよりも何をいうか」だからである。つまり、いかに 表現するかというレトリックよりも、そこにどんな真実が含まれているか、がその訴求力を大 きく左右するのである。

コピーは長いほうがよい

ところで、コピーの長さはどのくらいがよいのだろうか。一般にコピーは短いほうがよいとい われる。もちろんキャッチフレーズや見出しは、なるべく短いほうがよい。そうでなければ、 その本来の働きである「惹句」としての機能がはたせないからだ。だが、商品説明文について は、一般に長いほうがよいとされている。その理由はーーといってもこれについてはまだ決定 的な説はないのだがーー、おそらく長いコピーのほうが短いコピーよりも商品を具体的に説明 できるし、またそれだけ伝えるべき重要なことがらが豊富にあるーーしたがってすぐれた商品 だという印象を与えるからであろう。

もっとも、そのあたりの理屈はどうあれ、実際に繁盛しているサイトのほとんどが、長めの、 それも思い入れたっぷりのコピーを採用していることはまぎれもない事実である。また通信販 売の世界でも、長めのコピーのほうが売れ行きがよい、ということはすでに経験則としてもよ く知られた事実なのである。 よく「長いコピーは誰も読まないよ」としたり顔でいう人がい る。たしかに商品に興味のない人は、読まないだろう。けれど、実際に購入しようという人 は、それをすみずみまで読み、十分納得した上で、はじめて購入にふみきるものだということ を忘れてはならないだろう。

第5章 信頼性を上手にアピールする幾つかのテクニッ ク

■顧客の「信頼」を獲得すれば売上もあがる
■情報公開でクレームもプラスに変わる
■実店鋪での販促テクニックも十分使える

信用がないのなら自分の手で作り出せ

Eコマースがなかなか普及しない背景には、ECサイトそのものに対する「信用」の不足があ る。もちろんそこには決済の問題――とくにクレジットカードにまつわるセキュリティの問 題――も密接にからんでくるのだが、原因はそもそもECサイトの多くが全国的な知名度をもた ない個人商店あるいは中小零細企業であるというところにある。

無名である、個人商店である、ということは、それだけ信用力が不足しているということであ る。そのことは消費者のほうからみれば、「本当にこの店で買っても大丈夫なのだろうか」と いう疑心暗鬼を生む。しかし、これを逆の視点からみれば、こうした「信用」にまつわるハー ドルさえクリアできれば、ECサイトの売上をアップすることも不可能ではないはずである。 では、この「信頼性」を上手にアピールするには、どうすればよいのだろうか。

積極的な情報公開で信頼性を向上させる

信頼性を高める方法として、もっともてっとりばやいのが情報公開である。そしてその基本と なるのが企業情報の開示、すなわち住所、連絡先、代表者の氏名、業務内容といった企業にま つわる最低限の情報を公開することである。

またこの経営情報の開示とともにぜひやっていただきたいのが、オーナーの顔写真の公開であ る。オーナー、もしくは責任者の顔写真を公開することは、たんに名前をのせただけと違って 信頼性の向上にも大きく貢献する。一般にオーナーの顔写真は、お客様に対して親近感を抱か せると同時に、ショップ側の経営姿勢に対する信頼性のあかしともなる。それは万一、トラブ ルが発生しても、「私は逃げもかくれもいたしません」というオーナーの意思表示でもあるの だ。

じつは、このオーナーの顔写真をのせるというテクニックは、通信販売の世界ではすでに常套 手段となっている。実際、そこにオーナーの顔写真があるのとないのとでは、購入率にも大き な差のつくことが、長年の経験から実証されているのだ。

情報公開のもうひとつの方法は、お客様の生の声を掲示板やページ上に掲載することである。 実際に商品を買ってその使い心地を体験したお客様の声ほど、雄弁なものはない。とくに「こ の商品なら絶対間違いない」とすでに確信をもっているお客さまならいざしらず、「本当にこ の商品でいいのだろうか」とあれこれ悩んでいるお客さまにとって、この「先輩使用者の声」 は客観的な判断基準を提供してくれる貴重な情報源となる。

もっとも「お客様の声」を出すのは、何も販売実績を自慢したり、まわりを「信者」やおべっ か使いでかためるのが目的ではない。むしろ、お客様の厳しい意見や率直なクレームにも素直 に耳を傾け、誠実に対処しているという真摯な姿勢を見せることが、重要なポイントなのであ る。 実際、一人のお客さまのクレームによって企業側の信頼性が損なわれるケースは、ほとん どない。むしろ、クレームに対して誠実に対処することが、結果として企業の信頼性をかえっ て向上させるケースのほうが圧倒的に多い。その意味では、掲示板に書かれたクレームは、信 頼性を高めるチャンスでもある。大いに活用したいものである。

売れている雰囲気と権威の利用

一般に人は、売れている店、繁盛している店で買い物をしたいと思うものである。それは、 「売れている」→「よい商品であるに違いない」→「この店なら信用できる」というプラスの 連想が働くためであろう。 それでは、この「売れている雰囲気」演出するには、いったいどう すればよいのだろうか。その方法のひとつに、客の姿を見せるというやりかたがある。とはい え、ECサイトの場合、通常の店と違って、他のお客様が買い物をしている姿を直接見ることは できない。

しかし直接的に見せることができなくても、間接的に見せることは可能であろう。 ひとつは、 売り上げランキングの公開である。これは、いま一番売れているのはこれ、二番目はこれ、と 商品ごとの売り上げ状況を公開することである。ただし、ただたんに商品ごとの売上順位を示 すだけでは効果はうすい。今月の売上数は具体的にこれだけ、その内訳はA商品が何個、B商品 が何個というように、できるだけ詳しいデータでないと、データ自体に信憑性が出てこないか らだ。

売上明細を開示するのは、いわば人に財布の中身を見せるようなもので、オーナーとしては、 あまり気がすすまないやりかたかもしれない。だが、もしそれができれば、お店の信頼性は飛 躍的に高まるだろうし、また、それに応じて売れ行きもぐんぐん伸びていくはずだ。

信頼性を高めるもうひとつの手段として、しばしば権威づけという方法がとられる。これは、 よく通信販売のカタログなどに「~博士の推薦文」などというのが、顔写真入りでのっている が、あのやり方である。 人は一般に権威に弱い。権威ある人から「こうだ」と断定されると、 なんとなく信じてしまうものである。よい悪いは別にして、こうした人間特有の心理に訴える のが、この手法である。

ただ、社会的地位のある人や有名人を起用するにはお金がかかる。そこで、ここではもっと簡 便で費用のかからないとっておきの方法をご紹介しよう。それは、「あの~さんがTVドラマの 中で着ていた服はこれ」、「~国大統領夫人愛用のドッグフードはこれ」、「プロ野球選 手~さんの大好物として話題の料理はこれ」、というように商品のわきにちょっとしたコメン トを添えておく方法だ。 こうすれば、費用ゼロで有名人の権威や人気をちゃっかり利用するこ とができる。ただ、これもあまりやりすぎると、当の本人からクレームがつくことも考えられ るので、あくまでもさりげなく、そしてコメントの表現には十分注意する必要がある。

買う気を切らない、買う気を促す

「よしこれを買おう」とレジにもっていったところ、客が何人も並んでいるのをみて、「やっ ぱり今度にしよう」と思った経験はないだろうか。 これは、せっかく高まった購買意欲が途中 で水をさされてしまった例である。似たようなことはECサイトでも起こりうる。なかでも多い のが、注文フォームにからむ部分である。注文フォームのネックは、記入に手間がかかるとい う点だが、手間がかかるということは、それだけ買う気に水をさすことになる。そのため、シ ョップ側としてはチェックボックスやポップアップメニューを多用するなど、できるだけ記入 部分を少なくするよう工夫することが大切だ。

買う気を促すテクニック

この買う気を切らない、から一歩進んで、買う気を促すテクニックというのもある。買おうか 買うまいか迷っている人に対し、いわばあとおししてやるテクニックだ。具体的には、つぎの ような方法がある。

限定

「キャンペーン期間のみの限定販売」「売り切れごめんの限定販売」といった手法。期間や数 量を限定することで、購入の意思決定を早める。

割引

「在庫処分につき30%オフ!」といった手法。値段を下げることによって「お買い得感」を あおる。ふつうは、「期間限定」と組み合わせておこなわれる。

プレミアム

「お買い上げの方全員に○○○をプレゼント!」といった手法。「おまけ」(プレミアム)を提 供することで、「お買い得感」をあおる。

このあたりは、従来の販促手法がほとんどそのまま応用できる部分でもある。最初に、ECサイ トは「八百屋」と同じであるといったが、それはECサイトには従来の販促手法が通用しないと 頭からきめ込む必要はないという意味でもある。要は、ECサイトの本質をきちんと把握したう えで、応用できるところは応用すればよいだけの話である。

執筆:高橋進一郎 (C)Copywright 2000 All Rights reserved

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