販売代理モデルから購買代理モデルへと転換するマーケティングモデル

販売代理モデルから購買代理モデルへ

販売代理モデル
図10

購買代理モデル
図11

ここで、生産と消費における市場の変化についてちょっと考察してみます。
これまでの市場では、まずはじめに生産者が商品を作り、それを卸商がまとめ買いし小売店に卸す、そして小売り店がそれを消費者に販売するという流れが一般的でした。これはとくに、作れば売れるという戦後のモノ不足を反映してできあがった流れでもあります。
ところが、生産力が高まり、モノが余り気味になってきた現在、この図式におおきな変化が起きています。すなわち、それまで生産者からはじまっていた生産ー消費の流れがまったく逆方向、つまり消費者の側から始まるようになってきているのです。
もう少し詳しく説明しましょう。

まず消費者は「こんなものがほしい」という声や思いを持っています。それを口に出すか出さないかは別にして、常に消費者と接している小売り店はそれを敏感に察知します。そして、「こんな商品はないか」と卸商に相談します。それに対し卸商はさらに取引先のメーカーに「こんなものを作ったら売れそうですよ」と情報を提供し、その結果、メーカーは消費者が望む商品の製造に乗り出すというわけです。
これはいわゆるオーダーメイド型の受注生産に近いものといえるでしょう。

販売代理モデルから購買代理モデルへ(実際)

学習ー態度変容ー行為

図12

ここで将来の購買代理時代における購買行動モデルを仮説として提示してみます。
まず最初のトリガーとなるのは、企業側の生産動機ではなく、生活者側の欲求顕在化になります。 「あ、これ欲しい!」という欲求の発見ですね。ちなみにこの「欲求顕在化」に対応(生み出す)するのが広告宣伝です。
ついで、その欲求を満足させる商品にはどんなものがあるのか、消費者はネットなどを使ってしらみつぶしに調べ上げることでしょう。これが図でいう「学習」段階です。
次に、商品とその選択に必要な情報を調べ上げた消費者は、得られた情報をもとに複数の商品群の中からどれがもっとも購入するに値するかを評価し、選び出します。 ここまで来るとどの商品を買うべきかはすでに明らかになっています。
しかし、ここではそれはまだ頭の中で「計算」した結果、「これがベスト」という結論が得られたにすぎません。 もちろん、ここからすぐに購入ボタンをクリックする人もいるでしょうけれど、多くの人はここで少なからず躊躇します。「本当に今、この商品を買ってもよいのだろうか?」「本当にこの商品が今の自分に必要なのだろうか?」といったためらい、もしくは自制の気持ちがここで生まれます。いわば危険を察した心がブレーキをかけるような状態です
こうした心理的ギャップを埋め、前段の「評価」と後段の「購買」の間に橋をかけるのが「動機付」という段階です。要するに、欲しいのだけれど様々な事情からいますぐ買うのをためらっている人に対して、その背中を後押ししてやる段階といえるでしょう。
その具体的な方法については後ほど項をあらためて考察したいと思います。
なお、webサイトは一般にここでいう「評価」と「動機付」段階に対応します。そのためwebサイトでは、図示したような「パーミッション」「好感形成」「信頼醸成」「印象」「差異化」「感動」などの要素をその表現内に含む必要があります。
また、人は「知った」だけでは「行動」することはありません。知ることと行動の間に「態度変容」が行われてはじめて具体的な行動が生まれるのが普通です。その意味で上の「動機付」段階は、態度変容を促すものとしてきわめて重要であるといえそうです。

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