ホームページ制作の基礎理論

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ここにアップしたのは、10年以上前に私が書いた文章です。

当時、ホームページが世の中に出てきたばかりということもあり、そのあるべき姿、作り方をめぐって制作者の間でちょっとした混乱が続いていました。たとえばトップページの見せ方、あるいはプラグインの必要性などインタフェースをめぐる意見の不一致です。

その一方で、当時の私にはマーケティングの側面からとらえ直せば、そうした混乱は容易に収められるという確信がありました。またそのような混乱は誕生したばかりのホームページ制作業界の発展にとっても有害であり、できるだけ早急に収めるべきであるとも考えていました。そうして書かれたのがこの文章です。

時代の変化とともにいまでは古くさく感じられる部分も少なくありませんが、原理原則となる根本的な部分はいまもまったく変わっていません。いまでも十分にあてはまりますし、いまもなお読む人に少なからぬ洞察を与えてくれるものと自負しています。

これは当時、有料(1,000円)で希望者に頒布したものですが、あれから10年以上の時間が経過したこともあり、今回全文を無料で公開することにいたしました。この小文が、世の中のホームページをさらに使いやすいものにするヒントとなれば幸いです。

 


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売上げを10倍伸ばすホームページの作り方

 

この文章は、ネット上での直接販売を目的にした「オンラインショップ」の制作方法を説き明かしたものです。したがって、ここではたんなる企業PRのためのページや、とにかく人を集めることを目的としたエンターティメント的なページ、あるいは個人の趣味的なページについては対象外としました。それらはオンラインショップとは目的が異なりますので、また別の方法論にしたがって制作されなければならないからです。

しかし、あなたがもしホームページを使って商品を直接販売しようとしており、しかもできるだけ売上を伸ばしたいと考えているなら、この小文はきっと役に立つはずです。もっともここでは、アクセス数を増やす方法については一切ふれていません。そのかわり、いったんアクセスしてきた人に対しては、どのようにすれば効果的に商品をアピールし、実際の注文にまで結びつけることができるか–つまりいかにしたら「注文率」を高めることができるかについての原理とそれから派生するさまざまなノウハウを紹介しています。 たんに人に見せるだけの「見栄えの良い」ホームページではなく、あくまでも「売る」ための実利最優先のホームページを作りたいとお考えの方には、この小文は十分に価値のあるものとなることでしょう。
*なお、ここでは特別にことわらない限り、ホームページといった場合、オンラインショップをさすことにします。

第1章 — ホームページとは一体何か?

アクセス数と注文数、どっちが大事?

ホームページを立ち上げた企業、個人にとって現在最大の関心事のひとつとなっているのがアクセス数です。アクセス数とはいうまでもなくホームページを訪れた人の数ですが、これが多ければ多いほど人気の高いサイト(ページ)ということになります。したがってアクセス数の多いサイト、イコール成功したサイト、という図式が一般にはでき上がっているようです。でも、ちょっと待ってください。本当にそうなのでしょうか。

仮にここに「そば」を売るホームページがあるとしましょう。そして、1ヵ月の間にのべ1万人のアクセスがあったとします。ところがもし、そのうちただの1人も「そば」を買ってくれなかったとしたらどうでしょう。この「1万人」という数字にはいったい何の意味があるのでしょうか?

(仮想店舗ではない)現実の商人の世界には、このことを端的に表わした言葉があります。「冷やかし」です。「ウインドウショッピング」の客ならまだ今後に期待が持てますが、冷やかしの客はほとんどの場合、商売には結びつきません。もちろん、誤解しないでいただきたいのですが、アクセス数にまったく意味がないといっているわけではありません。アクセス数が増えなければ注文数だって増えないのは自明の理です。それに一度は見てくれたということは、将来、何らかの反応が返ってこないとも限りません。

しかしここで問題にしたいのは、100人のアクセスがあったとしてそのうち何人が実際に商品を注文してくれたか、という「注文率」のことです。あたりまえのことですが、いくらアクセス数が多くても実際に注文してくれる人がいなければ商売にはなりません。これは実際に商売を行っている人にとっては、いまさらいわれなくても身にしみて分かっていることではありますが、いざホームページを作ろうという段になると案外忘れがちですので、十分注意する必要があります。

ホームページ イコール ダイレクトメール仮説

それでは、注文率の高いホームページとは、具体的にどうあるべきなのでしょうか。それに対する答えを出す前に、まずはホームページとはいったい何なのか、というところから検討してみましょう。もちろん結論からいえば、それはまったく新しいマーケティング手段であることは間違いありません。とはいえ、最初からそう決め付けてしまっては取りつく島もありませんので、ここでは従来のマーケティング手段との比較対照の中から答えを探っていくことにしましょう。

筆者の考えではホームページは、イコール、ダイレクトメール(または通販カタログ)、ととらえるのが一番よいと思います。もちろん、ダイレクトメールや通販カタログの場合は、向こうから勝手に情報が送られてきますし、ホームページの場合は逆にこちらから「取りに行く」必要があるという、見かけ上の大きな違いはありますが、それでも両者は基本的に同じと考えてよいのではないでしょうか。その最大の理由は、どちらもそれ自体で「販売」を完結することができる、という点にあります。これは、他の広告手段、たとえばTVコマーシャル、新聞雑誌の広告、さらに通販用でない一般のカタログなどと比べるとよく分かります。

TVコマーシャルや新聞雑誌広告、さらにカタログなどは、いずれも役割分担があって、それぞれ商品の存在を知らせたり、商品の説明を行うという働きをしています。そして、ここが重要な点ですが、それらはすべて販売促進という一連の活動の中で特定の役割を担うものであって、いずれも単独では、「販売」を完結させることはできません。このことはTVコマーシャルや新聞雑誌広告を見たからといって、あるいはカタログを読んだからといって、ただちにその場で商品を注文できるわけではないことを思い出してもらえば誰しもご理解いただけるのではないでしょうか。普通、商品を手に入れるためには、私たちは必ずいったん店舗に出向いてそこで注文の手続きをとらなければなりません。そうして初めて私たちは欲しい商品を手に入れることができるのです。これに対して、ダイレクトメールや通販カタログは、商品の説明から注文まですべてそれ自身で完結させることが可能であり、一歩も家の外へ出ることなく商品を手に入れることができるのです。そしてそれはいうまでもなく、オンラインショップが持つ最大の特徴でもあるのです。

仮想店舗という考え方は正しいか?

参考までにもうひとつ検討してみましょう。それは「仮想店舗」という考え方です。一般にオンラインショップは、仮想店舗と呼ばれることが多く、実際そのようにとらえている人も多いようです。ーー現実の店舗の代わりにサイバースペースの世界に出店した文字通りの「仮想店舗」ーー。たしかに概念的にはこれが一番しっくりくるような気がしないでもありません。そしてもしホームページ イコール(仮想)店舗であるなら、そこに必要なのは、広告的なノウハウではなく、むしろ店舗設計のノウハウに近いものであろうと予想されます。しかし、よくよく考えてみますとホームページと現実の店舗には大きな違いがあることが分かります。

もっとも大きな違いは、仮想店舗としてのホームページには店員がいないということです。これはレストランや食堂などのケースを考えるとわかりやすいでしょう。一般にレストランや食堂では客が店内に一歩足を踏み入れた時点で、すでに料理を注文する決心がついています。仮にメニューを見て、欲しい料理がないからといって店を出る人はそう多くないでしょう。ところが、ホームページの場合はメニューを見ていいものがないと分かったら、誰に気がねすることもなくさっさと店を出てしまえるのです。

こう考えると、ホームページを現実の店舗の延長線上に置くことにはちょっと無理があるように思います。これはやはり自宅でゆっくりくつろぎながら欲しい商品を選べるダイレクトメールや通販カタログに近いものといったほうがよいのではないでしょうか。

それに、実際のホームページを見ても3D技術を使ったヴァーチャル感覚あふれた「仮想店舗」というものは現状ではまだ少なく、むしろ平面的な、つまりカタログ的な印象を受けるものが大部分であるということもホームページ=ダイレクトメール説を補強するものといってよいでしょう。

第2章 — 「売る」ホームページ作成のための基礎知識

AIDMA理論について

商品を売る技術である広告にはいくつもの理論がありますが、なかでももっとも有名なのが、AIDMA(アイドマ)理論です。これは、広告が消費者に及ぼす(べき)作用を分析したもので、それぞれ、Attention(注意)、Interest(興味)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動)の頭文字をとったものです。通常、広告に接した人は、まずデザインで目を引かれ(Attention)、ついでキャッチフレーズで興味を抱き(Interest)、ボディコピーを読むことで(商品に対する)欲求をかきたてられ(Desire)、さらに(商品名を)記憶に焼き付け(Memory)、そして最終的に購買行動を起こす(Action)、という順序で態度を変容させると考えられています。AIDMAはそれを一連の心理的過程として理論づけたもので、現在、すべての広告は原則としてこのAIDMAの基本にのっとって作られているといっても過言ではありません。

ところで、このAIDMAの基本はマーケティング活動全般にも応用されています。通常、セールスプロモーションのキャンペーンを行う際、TVコマーシャルは、Attention(注意)を引き、新聞雑誌広告は、Interest(興味)を抱かせ、カタログは、Desire(欲求)をかきたて、そして店頭でのプロモーション活動がAction(購買行動)を起こさせるという具合にそれぞれ役割を分担しています。もちろん、実際にはこれほど単純なものではありませんが、おおざっぱな理解のためにはそう考えてさしつかえないでしょう。第1章で、TVコマーシャルや新聞雑誌広告、カタログなどがそれ自体では「販売」を完結しない、と述べたのも、実はそういう意味からです。

ダイレクトメールが機能するプロセス

これに対してダイレクトメールは、それ自体で販売を完結します。では、それはどのように機能するのでしょうか。ここでちょっと分析してみましょう。まず自宅にダイレクトメールが届きました。あなたは、どうしますか。そのままゴミ箱に捨ててしまいますか。しかし、通常は何のダイレクトメールなのかくらいは確認してから捨てるのではないでしょうか。一般にダイレクトメールは封筒を見ただけで何のダイレクトメールなのかがわかるようになっています。したがってあなたは封筒のコピーをちらっと読み、そこでどうするか判断します。もし「興味」を持たなかったら、当然それはゴミ箱へ直行ということになります。しかし、もし興味を持ったら一応封筒を開けてみようとするはずです。中味を出して、ざっと目をやったあなたは、次にどういう行動をとりますか。コピーを読み、やっぱり「いらない」となれば、そのままゴミ箱にポイです。けれど、これはよさそうだと「欲求をかきたてられたら」、封筒に入っている書類をかたっぱしから読んで、それが本当に良いものであるかどうかを確認しようとするでしょう。そしてその結果、本当に良いものであるとの「確信」が得られたら、おそらくあなたはすぐその場でということではないにしろ、近いうちにきっと申込用紙に記入し、郵便ポストに投函しているのではないでしょうか。

AIDMA理論で分析するダイレクトメール

このダイレクトメールにおける一連の流れをAIDMA理論でもう一度跡づけてみましょう。まずAttention(注意)ですが、これは、封筒のデザインや上書きされたコピーによって「おや、なんだろう!」と注意を引くように作られています。もっとも、通常は自宅にダイレクトメールが届いたということ自体が「注意」を引きますので、封筒のデザインやコピーはむしろ次の段階であるInterest(興味)を抱かせるように作ってあることが多いようです。さて、興味を抱いたあなたは封筒を開けて、中味を確認しました。通常、ダイレクトメールの中には、商品を説明したカタログが入っていますが、これがDesire(欲求)をかきたてる働きをします。

さて、AIDMA理論によれば、次にくるのはMemory(記憶させる)という段階ですが、これは主にTVコマーシャルなどの場合であってダイレクトメールの場合、これはそれほど重要なものではありません。そのかわり、ここでは「確信」という段階をもってきました。一般に現代人は、商品がいくらいいものであると「知った」としても、それが本当にいいものであると「確信」できなければ購買行動には移りません。そしてこの確信には、商品の品質に関する確信だけでなく、それを売っている企業に対する「信頼感」も含まれます。ダイレクトメールの場合、この「確信」や「信頼感」は一般に有名人や専門家による推薦文や使用者の声(もっともなかにはいかがわしいものもありますが)などによって得られます。またダイレクトメールでカタログ以上に大事だとよくいわれるのが、「レター」と呼ばれる手紙形式の書類ですが、このレターの末尾に差し出し人の名前(通常、企業の担当者に名前)を自筆で載せるのも、「信頼感」を醸し出すのに有効とされています。

ホームページにアクセスする経路

それでは次にこのAIDMA理論をもとにホームページを分析してみましょう。ところでここで注意しなければならないのは、見込み客(ホームページにアクセスしてくる人をここではこう呼ぶことにします)が、「ダイレクト」にあなたのホームページにアクセスしてくることはありえないということです。それは電話を引いたからといって電話番号を公開しない限り、誰もあなたに電話をかけることができないのと同じ理屈です。したがって最初に検討しなければならないのは、見込み客は、いったいどのような経路をたどってホームページにアクセスしてくるのか、という問題です。

見込み客がホームページにアクセスしてくる経路はいくつか考えられますが、もっとも多いのが検索エンジンを通してアクセスしてくるケースでしょう。また雑誌などにホームページアドレスを「広告」した場合は、それによってアクセスしてくるケースも考えられます。さらに他のホームページに「リンク」を張ることによって、アクセスしてくる人もいるはずです。 しかしながら、いずれの経路をたどるにしろ特定のホームページにアクセスするためには、最初に何らかの「告知広告」がなければならないということを理解しておく必要があります。実はこのあたりは「売る」ホームページを制作する上でもたいへん重要なポイントとなりますので、きちんと頭に入れておいてください。

AIDMA理論で分析するホームページ

さて、以上をベースにホームページにアクセスしてきた見込み客の心理をAIDMA理論で跡づけてみましょう。まず見込み客が最初に接触するのは、検索エンジンや新聞雑誌などの既存メディアによる広告、さらに他のホームページの「リンク」などです。そしてそれらの「告知広告」は見込み客に対し、ホームページに関する注意を喚起し、興味を抱かせる働きをします。これはAIDMA理論でいえば最初の2つ、すなわち注意(Attention)と興味(Interest)の2段階に対応します。ここでもし、見込み客に興味を抱かせることができたら、とりあえず前半部分は成功です。彼は検索画面のボタンをクリックするなり、自分でホームページアドレスを入力するなりして、あなたのホームページにアクセスしてくることでしょう。

では、あなたのホームページにアクセスしてきた見込み客は、次にどういう行動をとるのでしょうか。おそらくまずはホームページをざっと眺め、あるいは拾い読みしながら、そこに本当に自分が欲しい商品があるかどうかを発見しようとするでしょう。そしてもし、そこに欲しい商品があった場合、彼はそのコピーをじっくり読んで、購入を検討するはずです。これは、AIDMA理論でいえば3番目のDesire(欲求をかきたてられる)の段階に相当します。

次は、Memory(記憶させる)の段階ですが、先ほどダイレクトメールの分析でも述べたようにホームページにおいても、これはそれほど重要ではありません。ここではダイレクトメールの場合と同様、「確信」という段階をもってきましょう。この確信には、商品そのものが間違いなく良いものであるという商品の品質に対する「確信」と同時に、それを売る企業 — つまりあなたのホームページです — に対する「信頼」も含まれます。そして、この信頼は、ホームページの場合、とりわけ重要な要素です。というのは、人々は現在オンラインショップに対して必ずしも大きな信頼を置いていないからです。もっともそれはかつて通信販売がそうであったように、黎明期にある新しい販売手法として避けられない宿命のひとつといえないこともありません。しかしいずれにせよ、将来オンラインショップが多くの人々に受け入れられるかどうかは、今後の私たち一人ひとりの行動と自覚にかかってくることは間違いないでしょう。お互い、心しておく必要があります。

さて、「信頼」を生むためのノウハウについては後章であらためて説明しますが、ここではとりあえず、見込み客があなたの商品を「確信」し、またあなたの姿勢に対しても「信頼」してくれたとします。次に見込み客がとる行動は、いったい何でしょうか。そう、注文です。もはやここまで来れば、彼は一刻も早く、商品を手に入れたいと思うでしょう。となれば、あなたの役目は、彼に注文フォームを差し出し、できるだけすみやかに「注文ボタン」をクリックさせること以外にありません。この段階が、AIDMA理論でいうAction(購買行動)に相当します。

ホームページを見たから買いたくなるのか、買いたいからホームページを見るのか

以上、ホームページにアクセスした見込み客の行動パターンを、詳しく分析してみました。ところでもうお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、ホームページにはダイレクトメールとは大きな相違点があります。それは、ホームページ自体にAttention(注意を引く)とInterest(興味を抱く)の部分が欠落しているという事実です。これは、ホームページがダイレクトメールと同様にそれだけで「販売」を完結させることができる、という先ほどからの筆者の主張とは一見矛盾するようにもみえます。

実はこれはホームページというメディアが持つ致命的な欠点のひとつです。TVコマーシャルなどは、番組を見ている人の前に有無をいわさず、情報のシャワーを浴びせるたいへん能動的で強力なメディアですが、ホームページは現在のところアクセスしてくれた人以外には情報を届けることのできない、きわめて受動的なメディアなのです。もっとも今注目されているプッシュ技術の今後の発達次第によっては、このあたりも大きく変化する可能性がありますが…。

ともあれ、先ほどの矛盾についてはこう考えてください。筆者のいう「オンラインショップ」とは、そもそも検索エンジンやその他の広告と一体となった「広義のホームページ」を差しているのだ、と — 。もちろん検索エンジンそのものとホームページとはまったく別物であることはいうまでもありません。しかし、ホームページにアクセスする人が、それらを操作上一連のものとして日常的に使っている以上、このようなとらえかたはそれほど間違ってはいないと思います。したがって少なくとも現状においては「オンラインショップ」イコール「広義のホームページ」と考えて何ら差し支えないのではないでしょうか。

またホームページにはAttention(注意を引く)とInterest(興味を抱く)の部分が欠落しているという事実は、次章から述べる具体的な制作ノウハウについても、重要な示唆を与えてくれます。それは、ホームページそのものは通常の広告と違って「注意を引く」必要もなければ、「興味を抱かせる」必要もないという結論に導いてくれます。すなわち、ホームページは最初からある程度の購買意欲を持った人たちを相手にすれば十分なのです。そしてこのことは従来カタログ制作の基本として知られている言葉をもじって次のような言い換えを可能にしてくれるはずです。
「人はホームページを見たから買いたいと思うわけではなく、買いたいからホームページを見るのだ — 」。

第3章 — コンセプトの選択は間違っていませんか

イスラム教徒に豚肉を売ることができるか?

 

基本1:「何を、誰に、どう」訴えるのかを明確にせよ

この章からはいよいよ具体的な制作ノウハウについてお話します。最初は、コンセプトの決め方です。コンセプトなどというと、いかにも専門的で難しそうな気がしますが、そんなに深刻に考える必要はありません。要は、「何を、誰に、どう言うか」のことです。もっとも最後の「どう言うか」については厳密にはコンセプトの範疇には含まれないかもしれませんが…。でもまあ、ここではそんなに厳密に言葉の定義にこだわる必要はないでしょう。そもそもコンセプトなどという言葉の本当の意味は、誰も知らないのですから…。しかしながら、そんないいかげんなものがどうしてそれほど重要なのでしょうか。

ここで広告の教科書にもよく引用されるアメリカの有名なコピーライターの言葉を紹介します。
「ひとつの広告が、他の広告の2倍や3倍ではなく、19倍半も販売力が強かった経験がある。どちらの広告も同じスペースを占めており、同じ出版物に掲載され、同じ写真を使っていた。そして、どちらのコピーも注意深く書かれていた。その違いといえば、ひとつの広告が正しい訴求をしていたのに対し、他は間違った訴求をしていたことだ」(『テストされた広告法』/J・ケープルス著/殖栗文夫訳/実業の日本社刊/昭和29年)

ここでいう訴求というのは、コンセプトと同義語と考えてさしつかえありません。つまり、ここでJ・ケープルス氏がいっているのは、コンセプトの選択が売上を左右するもっとも大きな要因のひとつであるということです。間違ったコンセプトで商品を売ろうと努力するのは、極端にいえば、イスラム教徒に豚肉を売ろうとするようなものです。労多くして得るところは少ないでしょう。

セールスポイントを明確に

さて、このコンセプトの決め方ですが、先ほどコンセプトとは「何を、誰に、どう言うか」だと述べました。ここではこの3つのポイントをもとに説明していきます。

最初は「何を」というポイントですが、これは単純にセールスポイントと考えてかまいません。そしてセールスポイントを決定する上で大事なのは、「差別化」という考え方です。差別化というのは、世の中にある同種の商品の中で、あなたの商品だけが誇れる魅力です。それは値段の安さであったり、品質の高さであったり、珍しさ(稀少性)だったりします。また商品そのものは他と変わらなくても、発送までの期間が短いとか、アフターサービスが充実しているとか、プレミアムをおまけするといった販売手法上の差別化もあります。

ここでは「そば」を例にとってみましょう。あなたはそば屋さんで、自分で打った生そばをオンラインショップで売ろうと考えたとします。さああなたの「そば」のセールスポイントはなんでしょうか。仮に値段が安いとします。値段が安いといっても、どのくらい安いのでしょうか。安いだけなら近所のスーパーでも手に入ります。もしかしたら、オンラインショップでも「そばの大安売り」なんてのがあるかもしれません。しかしそれらのいずれよりも安ければ、それは立派なセールスポイントになります。もっともそれだけ値段を下げても儲かる見込みがあればの話ですが…。

もちろん「美味しさ」をセールスポイントにすることもできます。しかしただ美味しいといっても、それは世の中にあるすべてのそばがそう言っているわけですから、もっと具体的に「これは美味しそうだ」と見込み客に予想させるような何かがなければなりません。「手打ち」を謳ってもよいでしょう。しかし、たんなる手打ちそばも、それほどめずらしくありません。手打ちそばにプラスする何かが欲しいところです。それはたとえばコシの強さであるかもしれませんし、歯応えかもしれません。また独特の香りかもしれません。もしそういった差別化のポイントがあなたのそばにあるなら、そのあたりをセールスポイントにするのも一法でしょう。

いずれにせよ、あなたのライバルはデパートやスーパーなど現実の店舗ばかりではありません。あなたが扱っている商品と同じ様な商品を売る店がインターネット上にはいくらでもいるのだということを十分承知した上で独自のセールスポイントを発見するようにしてください。

 

誰に売るかでセールスポイントも変わる

セールスポイントの決定にあたっては、実はもうひとつ重要な視点があります。それは、「誰に売るのか」ということです。「誰」というのは、この場合、いうまでもなくあなたの商品を買ってくれるであろう見込み客のことであり、専門用語でいえば潜在的需要層、すなわち市場(マーケット)のことです。

ここでは先ほどの「そば」を例にとって考えてみましょう。あなたは自分で作った「そば」をインターネットを使って次の3タイプの人たちに売りたいと思ったとします。

ひとつは年配の日本人男性、ふたつ目は若い日本人女性、そしてみっつ目が外国人です(もっともインターネットに接続しているのは、20~30代の男性が中心であり、年配の男性も若い女性もオンラインショップのマーケットとしてはまだまだ未成熟なのが現状ですが)。そしてセールスポイントは次の3点に設定したとします。

第1は手打ちであること、第2はコシがあること、そして第3がそば本来の香り、とします。

この場合、相手が年配の日本人男性なら、おそらく第1か第2あたりがセールスポイントとしてふさわしいでしょう。しかし、それが若い日本人女性であるなら、第2よりむしろ第3を前面に出したほうがよいのではないでしょうか。そしてもし相手が「そば」を知らない外国人であるなら、3つともセールスポイントとしては適切でなく、たとえば「日本伝統の料理である」といったほうがよいかもしれません。
もちろん、実際にはこれほど単純なものではありません。仮に外国人相手に売るにしても欧米人なのか、アジア人なのかによっても異なりますし、またその商品がどれだけ市場に浸透しているかによってもアピールすべきポイントは変わってきます。さらに競合商品がある場合、それがどういうセールスポイントを打ち出しているかという点にも考慮しなければなりません。ともあれここで重要なのは、同じそばであっても売る相手によってセールスポイントを変えなければならないということです。

どんな表現がもっとも効果的か

 

基本2:商品によって「理性訴求」と「感性訴求」を使い分けよ

さて、以上「何を」「誰に」のふたつが決まったら、3番目の「どう言うか」はほとんど自動的に決まってきます。たとえば外国人を対象とするのなら当然、英語あるいはその国の言葉で表現しなければなりません。そしてそれは日本人を対象とする場合でも同じです。すなわち、相手が若い女性なら若い女性が理解できる「言葉」で、また相手が年配の男性なら年配の男性が理解できる「言葉」で表現しなければなりません。もちろんそれは言葉だけでなくデザインなど視覚的な面も含めてすべてそうしなければならないのです。

ここで参考になるのが理性訴求と感性訴求という広告表現におけるアプローチの仕方です。理性訴求というのは、その名の通り、理性に訴えて購買意欲をかきたてる方法であり、感性訴求は感性に訴えて商品を売ろうという方法です。これは、工場で使用する製造機械と子供向けのチューインガムを比べればわかりやすいかもしれません。工場で使用する製造機械の購入にあたっては普通、関係者全員が一堂に集まり、その性能やスペック、値段などあらゆる角度から検討を繰り返し、その結果、最終的に購買の決定が下されます。このような商品のことを理性商品と呼び、そのアピールの仕方を理性訴求といいます。これに対してチューインガムのような商品は、それに含まれる栄養分を分析したり、歯応えを他と比べてみたりしてから買う人はまずいないでしょう。それよりもむしろ、TVコマーシャルが面白かったからとか、デザインが楽しそうだからといった理由でいわば直感的に買う人のほうが圧倒的に多いはずです。このチューインガムのような商品を感性商品といい、そのアピールの仕方を感性訴求といいます。

ところで、その訴求方法を180度逆転したらどうでしょうか? つまり製造機械を感性訴求で、チューイングガムを理性訴求で広告するのです。おそらくどっちもほとんど売れないはずです。このように理性商品に対しては理性訴求を、感性商品に対しては感性訴求を行うのが、広告表現の基本であり、いわば王道でもあります。もっとも誤解しないでいただきたいのですが、すべての商品が、理性商品と感性商品とに完全に2分されるということではありません。商品によっては「理性7分」「感性3分」というものもあるでしょうし、「理性4分」「感性6分」というのもあるでしょう。要は、商品によってそのあたりの塩加減が必要ということです。

第4章 — トップページの考え方

基本3:トップページで、ただちに商品の魅力を語るべし

 

トップページの役割

WWW上に存在する実際のホームページを見てみると扉ページの作り方にもさまざまなパターンがあることがわかります。お店の看板が画面の半分以上を占め、その下に細かいメニューボタンがいくつも並んでいるもの。また動画を含む多くの画像を使い、デザイン的にも凝りに凝ったもの。かと思えばそっけないほどシンプルで、ほとんど文字情報からできているもの。初めてホームページを作ろうと思った時、最初に悩むのはこのトップページのデザインでしょう。では、どのようなトップページが、もっとも「売上アップ」をもたらすことができるのでしょうか。

ここでヒントとなるのが、第2章で分析したAIDMA理論によるホームページの位置付けです。それによればホームページは、AIDMAの5段階のうち第3段階であるDesireから後の部分に対応しているということがわかりました。これは、言い換えれば、ホームページは注意(Attention)を引く必要もなければ、興味(Interest)を抱かせる必要もないということです。つまりトップページは、商品と無関係な女性の水着姿を持ってきて目を引く必要もなければ、何をいっているのかよくわからない謎めいたキャッチコピーで興味をそそる必要もないのです。よく考えてみてください。あなたのホームページにアクセスしてくる人はすでに検索エンジンや他の告知広告によって注意を引かれ、興味を抱いたからアクセスしてきたのです。そう考えると、トップページであらためて注意を引いたり、興味を抱かせることは時間の無駄であるどころか、かえってくどい印象を与えてしまうということがご理解いただけるのではないでしょうか。

トップページのあるべき姿

したがってトップページでは、直接、第3段階であるDesireの段階から始めるようにしてください。具体的には、目玉となる商品情報を前面に出して、その魅力を高らかに謳うのがよいでしょう。写真があるならその写真を、できるだけ大きく出してください。少々画像が重くてもそれだけ魅力をアピールできるのならそうすべきです。表示に時間がかかってイライラする人もいるかもしれませんが、それはあなたの商品にそれほど興味を持っていない証拠です。本当に商品を欲しがっている人なら、少々の待ち時間はむしろ楽しく感じるものです。もっとも、待ってくれるといっても限度がありますので、必要以上に大きくしてはいけません。商品の性格をよく考えて、最適な大きさを決めてください。

ところでよくありがちな間違いは、ホームページ、イコール仮想店舗のつもりで、トップページを店舗入口ととらえてしまうことです。そういう観点から作られたトップページの多くは、看板がひとつと入店を促すクリックボタンがひとつというパターンになってしまいがちです。繰り返しますが、あなたのホームページにアクセスしてきた人は、すでに何らかの興味をもってアクセスしてきたのです。それは、現実の店舗でいえば、店内に入ってきたことと同じことなのです。すでに扉を開けて入ってきたお客様の前に、さらにもうひとつ重々しい扉を示して「入ろうか入るまいか」悩ませるのはナンセンスではないでしょうか。いったん入店したお客様に対して、店舗側が次にとるべき行動は何でしょうか? それは「さあ、ここにお探しのものがありますよ」とただちに商品のありかを明確に差し示すことのはずです。

しかしここでひとつ問題があります。トップページで商品を主役にした場合、店の看板をどう扱えばよいのか、という問題です。理論的にいえば、告知広告を見た段階で店の名前は認知されているわけですから、極端な話、トップページに看板はなくてもいいはずです。しかし、それでは「ようやく目的の店にたどりついた」という感覚が薄れ、なんだか唐突な印象を与えるかもしれません。それを避けるためには、やはりトップページに看板はあったほうがよいようです。といってもトップページの主役は、あくまでも商品であって看板は2の次だということを忘れないようにしてください。看板の表示に時間がかかりすぎて、なかなかお目当ての商品が出てこないというのはやはりいただけません。

デザインは商品を引き立てる脇役

トップページは、ホームページの中でも一番目立つページであり、いわば花に相当する部分です。それだけにデザイン的にも凝りたいという気持ちはよくわかります。ましてやあなたがデザイナーであったらなおさらです。けれど、エンタティンメント系のホームページを作るのなら話は別ですが、少なくともオンラインショップでは、あまり凝ったデザインはむしろ、逆効果だと思ったほうがいいでしょう。それだけ画像が重くなり表示にも時間がかかってしまうからです。

もっともこういうとデザインテクニックそのものが不要だといっているように聞こえるかもしれませんが、そうではありません。いいデザインは、いうまでもなく「売る」ホームページを作る上で欠かせない重要な要素です。そしてここで「凝ったデザイン」といっているのは、商品を売ることとは無関係なデザインのことです。これはいわゆるデザインのためのデザインといってもよいでしょう。そういう「無駄な」デザインは、オンラインショップには原則として不要なのです。

第5章 — デザイン

デザイナーが陥るワナと技術者が陥るワナ

デザインの話が出たついでに、もう少しデザインについて、言及してみましょう。扉ページでは、商品の魅力を語るようにといいました。では、商品の魅力を語るデザインとは、一体どんなものをいうのでしょうか。
筆者はそれを演劇にたとえたいと思います。演劇は、出演者と演出者との協力によって成り立っていますが、いい演劇ほど観客の目は出演者に集まり、裏方にいる演出者の存在をみじんも感じさせません。デザインもそれと同じではないでしょうか。つまり、商品を脇においてデザインが舞台の中央にしゃしゃり出るようなことがあってはならないのです。デザインというのはあくまで商品を引き立てるためにあるのであって、デザインのために商品があるわけではありません。

当然じゃないか、と思われる人も多いことでしょう。けれど、クリエイターと称する人たちの中には、残念ながらそれを当然と思わない人たちが案外少なくありません。そうしたクリエイターにとっては、商品は自分の「芸術」のための口実にすぎず、自己表現の手段でしかないのです。したがって、出来上がった作品の芸術的な完成度については実に細かいところまで気を配るのですが、肝心な商品の売れ行きについては、まったくといっていいほど無関心なのです(何を隠そう、10年前の私がそうでした)。ホームページ制作を外注する場合は、くれぐれもこんな輩にひっかからないよう気をつけなければなりません。

デザインが、主役になってはならないというのには、もうひとつ理由があります。それはホームページの場合、容量の問題があるからです。仮に商品の魅力を引き立てる素晴しいデザインを思いついたとしても、それがやたらに大きな画像を使うものであったならば、残念ですが、そのアイディアはあきらめなければなりません。もちろん、そのアイディアが本当に素晴しいもので、通常のダイレクトメールのデザインに使われたなら間違いなく売上をアップさせることができるものであったとしても、です。

デザインによる販売促進効果がいかに「魔力的」なものであったとしても、それが表示されるまで多くの時間がかかるようでは、その効果自体が減殺されてしまうからです。もっとも、これはデザイナーが陥りやすいワナであると同時に技術者が陥りやすいワナでもあります。デザイナーがやたらと凝った画像を使いたがるのと同じように、技術者の場合はどうしても動画や音声、その他、最新技術を盛り込もうとしがちです。しかし、それらもまたホームページの容量を重くして表示までの時間を長くするのだということを忘れてはなりません。また通常のブラウザだけでは開くことができず、特殊なプラグインソフトを使わないと見られないようなホームページを作るのも、どんなものでしょう。そもそも見込み客に見られないのではオンラインショップの意味がないのではないでしょうか。

 

こんなデザインが売上を減少させる

ここで「間違った」デザインの例をいくつか挙げてみることにしましょう。
まずもっともいけないのは、先ほどもいったように容量の重すぎるものです。これは通信速度に限界がある現状では、誰しも認めざるをえない部分でしょう。制作者側としては、できるだけ容量が小さい、それでいて効果的な(こういうホームページを一般にCOOLなと呼んでいます)デザインを心がけるようにすべきです。

次に問題なのは、デザインがうるさすぎるものです。これは、前章でも述べたように、デザインばかりが目立ちすぎる反面、肝心の商品の存在感が薄れてしまうおそれがあります。こういうホームページは、一見「かっこいい」デザインに見えるかもしれませんが、「売る」ホームページとしては完全に失格です。デザインはできるだけシンプルであるべきです。ここで見込み客はあなたのホームページに何を求めているのかを、もう一度振り返ってみてください。かれは、あなたのホームページに芸術的な感動を求めているのでしょうか? それとも商品情報でしょうか?

また、文字が読みにくいホームページも問題です。筆者も時々、行き当たることがあるのですが、黒っぽい背景色にこれまた黒っぽい文字を平気で使っているページがあります。なかにはデザインや構成などは、けっこううまくまとまっているにもかかわらず、文字だけがどうにも見づらく、どうしてそこまで頭が回らなかったのかと非常に残念に思うことがあります。そもそも文字が読めなくては、どんな商品なのか相手に理解させることができません。これは、もうデザイン以前の問題といってよいでしょう。

これに関連することですが、広告の世界では、一般に黒地に白抜き文字で書かれたコピーは、その逆の場合と比べると読まれる率が低いということが調査の結果わかっています。アメリカの広告王として有名なデビッド・オグルビーは、こういっています。
「(黒地を背景に)白抜き文字を使って、飢える子供たちのための基金を集めていた広告に、私は、白地に黒文字のテストを行うよう提案した。2倍の寄付金が集まった」(『「売る」広告』/デビッド・オグルビー/松岡茂雄訳/誠文堂新光社/1985)。

もちろん、広告とホームページとを単純に比べるわけにはいきませんが、黒地に白抜き文字で書かれたコピーが読まれない、ということを「読みづらい」からと理解できれば、この点はホームページにも十分応用できるはずです。ホームページの文字は、原則として背景色とは反対色を使用するようお勧めします。

最後にもうひとつ、問題のあるデザインを指摘してみましょう。それは黒と黄色を基調としたデザインです。自然界では、黒と黄色の配色は一般に「危険」「毒を持つ」といった信号として使われています。そのことは、蜂や毒ヘビなどの毒を持つ動物の色をみるとおわかりいただけるのではないでしょうか。また道路標識でもいわゆる「警戒標識」は黒と黄色でデザインされています。したがって、お客様が親しみやすいホームページにしたいのなら、黒と黄色のデザインはできれば避けたほうが無難かもしれません。

これが売上を伸ばすデザインだ

 

基本4:デザインは「シンプル」を旨とし、商品を引き立てる脇役に徹すべし

次に「正しい」デザインについて、いくつかそのヒントをお話しましょう。まず、最初に強調したいのは、「商品を主役にすべし」ということです。しかし、これは先ほどから何度も繰り返している点ですので、ここではもはやくどくど申し上げません。要はシンプル イズ ベストです。下手なデザインに頭を悩ますくらいなら、商品写真とコピーを単純にレイアウトしただけのほうがよっぽど効果的だということを忘れないでいただきたいと思います。

次に重要なのは、「複数の商品を一堂に並べよ」という点です。これは、新聞のチラシや通信販売のカタログが参考になります。一般に人は、目の前に商品を一個だけ出されてもなかなか手を出さないものです。それは、人はいくつかの商品を比較しながらどれを買うのか自分で決定したいと思っているからであり、目の前に提示された商品が多ければ多いほど、その中から「最高のものを自分で選択した」という満足感が強くなるものです。したがって商品が一個だけぽつんとあるよりも2個、2個よりも3個、とあったほうが購入への抵抗感が薄れるのが普通です。

もっともなかには、ひとつしか商品がないという場合もあるかもしれません。たとえば名物のお菓子を売る老舗などはこれ一品で勝負、というところも多いことでしょう。そして、この「うちはこれしか売っていません」という専門性は、オンラインショップでは大きなセールスポイントになることも事実です。では、どうしたらよいのでしょうか。答えは簡単です。10個入りの箱詰めと、20個入りの箱詰めから選ばせればよいのです。要は、客に「選ぶ」自由を与える、ということが大事なのです。その「自由」が実際にはたんなる思い込みや幻想に過ぎなくても、です。

3番目のヒントは、「目玉商品を設定せよ」ということです。いま「複数の商品を一堂に並べよ」といいましたが、それと同時に必ず目玉商品をひとつか、ふたつ、目立つようにレイアウトすべきです。業界の経験則では、カタログなどに10個の商品を掲載したとして、それらを平等な大きさで並べた場合と、そのなかのひとつを目玉商品として大きく扱った場合を比べると後者のほうが全体の売上が伸び、しかも目玉商品以外の商品の売上も伸びるといわれています。

4番目のヒントとして、挙げたいのは「事前事後」というテクニックです。これは、よく痩身術などの広告で使われるテクニックです。つまり、その商品を使うことによって得られる効果を使用前と使用後で比べて見せる方法です。えっ? いかにもいかがわしい。そう思うのは、あなたがその商品に興味がないからです。本当にその商品に興味を持っている人には、これは今でも効果のあるテクニックのひとつなのです。もっとも、誇張や嘘はいけません。とくにオンラインショップの場合は、何よりも信頼性が大事ですから、このテクニックを使うにあたっては、誠実と正確を心がけ、間違っても「だまくらかしてやろう」などと考えてはなりません。ネットワークの住人の知的レベルをあなどってはいけません。

いい写真にはそれだけで販売力がある

 

基本5:購買意欲をそそる写真を、できるだけ大きく使うべし

これまでもっぱらデザインの善し悪しについて言及してきましたが、写真の出来不出来は、それ以上に売上を左右する重要なポイントです。とくに食品関連の商品については、写真は決定的な影響をおよぼすといっても過言ではありません。したがって、商品写真はできるだけプロのカメラマンに頼んだほうが無難でしょう。最初は少々、予算が張るかもしれませんが、長い目でみれば結局そのほうが得であることは間違いないのですから…。

では販売力のある写真とは、どういうものをさすのでしょうか。ここにいくつかその基準を挙げてみましょう。まずひとつは、「特徴の明示」ということです。およそすべての商品にはそれが商品としての価値を持つものである限り、必ずセールスポイントとなる特徴があるはずです。そして、それをコンセプトにキャッチフレーズが決められ、デザインや写真が決定されるのが通常の広告制作の順序であることはすでに説明した通りです。したがって写真もまた、そうした商品の特徴をできるだけわかりやすく、それも印象的に表現することが大切です。たとえば、商品の特徴が斬新なデザインであるならばそのデザインを、新機能ならばその新機能に関係する部分を、拡大して見せてあげるのがよいでしょう。

ふたつ目は、「使用中の写真」です。たとえば食品ならば、実際にそれを食べている写真を出すべきです。そのほうが食欲をそそることは、たんに食膳に並べただけの写真と比べてみれば誰しも納得できることでしょう。もっとも人が食べているところをあからさまに見せるのもあまり品がありませんので、それには工夫も必要です。たとえば、料理を箸で持ち上げた場面でもかまいませんし、場合によってはたんに箸を添えただけでも随分雰囲気が違うものです。このあたりは、食品関連チラシや通信販売カタログなどが参考になりますので、自分で研究してみてください。

もうひとつは、「結果の写真」です。これは痩身術や美顔術などの広告でよく見られるもので、その商品を使うことによって得られる「結果」を明確に表現した写真のことです。この「結果の写真」を使う方法は、商品の『効用』が目で見えるものである場合、たいへん効果的です。もっともこの方法は、一歩間違うと逆に「眉つば」的イメージを与えますので、十分注意しなければなりません。

ところで使用する写真は、カラー写真がよいのでしょうか。それとも白黒写真でもかまわないのでしょうか。これは画像の重さにも関係してきますので、あながち無視できない問題です。とはいえ一般的には、やはりカラーのほうをお勧めします。そのほうが売上が伸びることは、ダイレクトメールの世界でも実証済みだからです。しかし、なかには白黒でもかまわないものもあります。これもダイレクトメールのケースですが、「手芸」などの通信教育講座では、白黒写真のほうがむしろ売上が良かったという例が報告されています。その理由とされているのは、いずれも売ろうとしている商品がカタログに掲載されている商品写真そのものではなく、むしろ「自分で作る喜び」であり、「夢」だからである、という点です。ということは、一般に商品が目に見えるモノである場合は、カラー写真の方が効果的ですが、目に見えない商品の場合は、白黒写真でもかまわないということになりそうです。したがってあなたが売ろうとしている商品が目に見えないもので、カラー写真を使うとホームページが「重く」なってしまうような場合は、白黒写真でもかまわないでしょう。

さて、次にこれらの写真をどのようにレイアウトすればよいのか、という問題ですが、これは前にもふれたようにできるだけ大きくレイアウトしたほうが効果的です。そのほうが、インパクトもありますし、質感などのリアルさもそれだけ増すからです。もっともあまり大きくするとその分表示に時間がかかってしまいますので、それもやはり限度があります。しかし、その場合でも、本当にその商品に興味を持っている客は、少しくらい表示に時間がかかっても待ってくれるものだということを忘れてはなりません。

第6章 — コピーとネーミング

コピーの組み立てもAIDMAが基本

 

基本6:コピーは、セールスポイントをそのまま素直に、誰もが正しく理解できるように書くべし

デザインのことが出てきたついでにコピーについても少し触れておきましょう。先ほど、デザインは商品を引き立てる脇役であるといいましたが、そのことは、コピーについてもまったく同様です。先ほど触れたデビッド・オグルビーはこう言っています。
「よい広告とは、広告自体に注意をひかないで商品を売るものである」
さてコピーの基本もまたAIDMAにあります。つまりキャッチフレーズからボディコピー(キャッチフレーズの下に入っている比較的長い文章のことです)にいたる一連の流れをAIDMAの基本にもとづいて組み立てるわけです。もう少し具体的にいえば、キャッチフレーズ(ヘッドラインともいいます)で、「注意」を引き、ボディコピーの書き出しで「興味」を持たせ、そして読み進むにしたがい、(商品に対する)「欲求」をかきたて、さらに(これは確かに良い商品だと)「確信」を抱かせ、最後に(購買)「行動」を促すわけです。

次に実際のコピーの例を紹介しますので、どういう組み立てになっているか、自分で分析してみてください。

ほのかな甘みの中に自然の風味が香り立つ蔵王山麓に伝わる素朴な味わい
ほくほくした素朴な味わいが何とも絶妙な「そばまんじゅう」。蔵王山麓の村で昔から作り継がれてきた秘伝の田舎料理です。そば粉、麦粉、黒糖を原料に添加物を一切使わず、アルカリイオン水で練り上げました。極力糖分をおさえた素朴な味わいは、まさに100%自然の味。忘れかけていた土の香りや植物の匂いが、ほのかな甘みの中に懐かしく甦ります。あんは、自家菜園で獲れた小豆から作ったオリジナルの小豆あんをはじめ紅花あん、グリーンピース、梅の実(夏期のみ、冬期はゆり根)の4種。そのままでも十分美味しく召し上がれますが、蒸し器などで温めますといっそう美味しく召し上がれます。お茶受けに、また子供のおやつなどに、東北地方の一部の店でしか扱っていない幻の「そばまんじゅう」をぜひご賞味ください。

キャッチフレーズは、一番重要なセールスポイントをそのまま率直に謳うのが原則です。ここではよけいな「ひねり」はいりません。商品の特徴を誰にでもわかるような言葉で表現することを第一に心がけてください。そして、書き出しはキャッチフレーズで提示したセールスポイントを受け、その内容を説き明かす、という形で始めてください。いわゆる「前書き」は不要です。どうしても前書きが必要な場合は、最低2文以内におさえた方がよいでしょう。それ以上、前書きが続くと普通読者はイライラしてきます。

それから、商品の魅力をじっくりと語ってください。様々な角度から、それらを説明するのです。その後、もう一度商品の優秀性を繰り返すなり、もうひとつ別の視点から強調するなり、読者に「うん、これだ」と確信させるようにしてください。そして最後に購買を促す言葉でしめくくりましょう。購買を促す言葉 — 「ぜひご賞味ください」等 — を馬鹿にしてはいけません。それは、清水の舞台に立った人に思いきって飛び降りる勇気を与える言葉です。決しておろそかにしてはいけません。

それから注意しておきたいのは、TVコマーシャルや新聞雑誌広告のコピーを真似てはいけないということです。それらは、商品の「魅力」を説明するより「注意」を引いたり、「興味」を持たせることに主眼が置かれており、ここで説明しているコピーとは性格が異なります。したがってホームページのコピーを作る場合は、むしろダイレクトメールやカタログなどのそれを参考にしたほうがよいでしょう。それらのコピーは、TVコマーシャルや新聞雑誌広告などと違って商品のセールスポイントを素直にじっくりと語っているはずです。そしてホームページのコピーもまたそのように書かれるべきなのです。

誠実で素直なコピーにまさるコピーなし

ただ、注意していただきたいのは、文章を書き慣れていない人が一夜漬けでコピーを書いたりすると、どうしても「気取りすぎ」「何を言っているのか意味不明」といったものになってしまいがちなことです。あれこれコピーをひねくり回していると表現だけがどんどん核心から離れていってしまい、そのうち何を言っているのかわからなくなってくるというのは、素人に限らずプロの場合でもよくあることです。

プロでさえ、そうなのですからましてや素人の人は、書き上げたコピーについては必ず第三者に批評をあおぐようにすべきでしょう。もし人に見せるのが嫌なら、せめて一晩、できれば三日間くらいは寝かしておくようにすべきです。とくに書いた直後というのは、一種の興奮状態にあって冷静な判断が難しいものです。これを解決するためには、何日か間をおいて一度そのことをすっかり忘れてしまってから、改めて読み返すのがいいでしょう。おそらく数日前はあれほど「名作」だと思えたものが、今日は何の変哲もない「駄作」に変わっているはずです。しかし、改めて読み返してみてそれでもやはり「名作」だと思えるものはやはり真の「名作」であるに違いありません。迷わず、それを使ってください。

この「客観的な判断」は、たいへん重要な作業です。というのは「意味不明」のコピーならまだそれほど罪はないものの、「嫌味」なコピーは確実に客の反感を買うからです。当然、商品を売ることなど問題外です。もっともそんなコピーを苦労して書くくらいなら、むしろ素人くささを前面に押し出すのもひとつの手かもしれません。店の主人が自分の言葉でとつとつと語りかけるコピーは、たとえそれが稚拙な表現であっても、その稚拙さがかえって好感を呼ぶものです。もちろん、何を言っているのかわからないようなものでは困りますが、自分の商品に特別な思い入れがある人なら案外、説得力のあるコピーが書けてしまうものです。しかも、それは時にプロのコピーライターが逆立ちしても書けないような効果的なコピーだったりします。あなたも一度挑戦してみてはいかがでしょうか?

短いコピーより長いコピーの方が販売力がある

 

基本7:ボディコピーはできるだけ長く書くべし

次にコピーの長さについて、考えてみましょう。コピーの長さはどのくらいが適切なのでしょうか。一般にコピーは、短いほど良いとされています。しかし、それはTVコマーシャルや新聞雑誌広告など忙しい視聴者や読者を対象にした場合であって、ダイレクトメールやカタログなどのように最初からある程度読んでもらえることが期待できる場合は、むしろ長いコピーのほうが販売力のあることが経験則としてわかっています。理由はよくわかっていませんが、一般に長いコピーは短いコピーよりも商品を具体的に説明することができますし、また「それだけ伝えるべき重要な点が豊富にある」という印象を与えるからではないでしょうか。
よく「長いコピーは誰も読まないよ」としたり顔でいう人が広告マンの中にもいます。たしかに買う気のない人は読まないでしょう。しかし、買う気のある人は、これをすみずみまで読んでから、初めて購入に踏み切るのが普通なのです。

 

ホームページのネーミングはどうあるべきか

基本8:ページのタイトルは、商品を連想しやすい名前にすべし

最後にホームページのネーミングについて、ちょっとふれてみましょう。ホームページの名前には、どんなものがよいのでしょうか。これは、とくに実証されたわけではありませんが、筆者の考えでは「商品を連想できる」名前が、もっとも「売上」効果が高いのではないかと思われます。それは、一般的なネーミングの原則にもかなっておりますし、検索エンジン上での注目率も高くなると予想されるからです。たとえば、そば屋でしたらやはり日本語のそれらしい店名にすべきですし、これを横文字にしてしまってはどうもあまりうまそうな気がしません。逆にイタリア料理店の名前が「長寿庵」ではやっぱりしっくりこないでしょう。もっともイタリアにもそばがあるということですから、イタリア風そばを売ろうというのなら話は別ですが…。

商品イメージとかけ離れた名前は、お客様に覚えてもらうまでよけい時間がかかります。つまりそれだけPRにコストがかかるという点で不利です。すでに知名度の高い企業や商品の場合は別にして、これから新しいサービスを始めようという人は、できるだけ「商品を連想できる」名前にしたほうがよいでしょう。

それからもうひとつ注意しなければならないのは、ネーミングの発音です。日本ではとくに問題がなくても、外国では別の意味にとられてしまうケースも少なくありません。有名なところでは、あの「カルピス」の例があります。日本では問題なく通るネーミングですが、英語圏では、「COW PISS」(牛のおしっこ)に似ているため、向こうでは「カルピコ」と呼んでいるそうです。もっとも全部でいくつあるのかわかりませんが、世界中の言語についてそれぞれ調べるのは、事実上不可能でしょう。しかし、世界を相手に商売をしようというのなら、少なくとも主要な言語については一応当たってみたほうが無難でしょう。

第7章 — 構成

客を迷子にしないように

 

基本9:構成は、扉ページから注文フォームまで誰もが一直線でたどりつけるようにすべし

店舗設計の世界には、「導線」あるいは「回遊ライン」という概念があります。これは入店した客を、どのような経路でレジまで導くのが効果的か、という考え方のことです。通常、売上の高い店舗はほとんど例外なく、この導線に基づいて計画的にレイアウトされています。

この導線計画は、「売る」ホームページを制作する上においても重要なポイントです。では、オンラインショップの場合、どのような導線計画がベストなのでしょうか。それは、扉ページから注文フォームまでを一本の導線で結んだものです。そしてこの導線は、もちろんAIDMAの流れに沿って作られていなければなりません。

ここでオンラインショップは、AIDMAの5段階のうちD(Desire)以降をサポートするものであり、はじめに商品への「欲求」をかきたて、ついでそれへの「確信」を植え付け、最後に「購買行動」を促すという流れに沿って作られるべきであることを思い出してください。そしてアクセスしてきた人すべてが、この流れに沿って次々と必要な情報を与えられるようにするのが、理想です。つまりオンラインショップにおいては、誰もがAIDMAという導線に沿って最終的に注文フォームにまで行き着くことができるように作られていなければならないのです。

その点、やたらにメニューボタンがついているものは感心しません。注文フォームに行き着く前に迷ってしまうからです。エンターティメント系のホームページなら話は別ですが、少なくともオンラインショップに関しては、扉ページから注文フォームまで、誰もが迷わず確実にたどり着けるよう、できるだけシンプルなページ構成にすべきです。

また同じ理由から、リンクボタンをはできるだけ注文フォームの後に置くべきです。よく扉ページにリンクボタンを置いている人を見かけますが、あれでは店に入ろうとしている客にライバル店への入店を勧めているようなものです。自分のホームページを見終わった人だけが、リンク先へ飛べるようにすべきでしょう。

クリックは決死のジャンプ

 

基本10:クリックボタンはできるだけ避けよ

またもうひとつ、注意しておきたいのは、クリックに関してです。オンラインショップではクリックはできるだけ避けてください。というのは、見込み客の中には、クリックすることを必要以上に警戒する人もいるからです。クリックを警戒する理由にはいくつかありますが、代表的なのはクリックを続けていくと迷ってしまうのではないかという不安でしょう。また次のページを開くまでどのくらい時間がかかるのか予想がつかないため、クリックを躊躇してしまう人もいます。いずれにせよそうした人たちにとってクリックはいわば「決死のジャンプ」にも等しいものなのです。クリックをインターネットの醍醐味であり、一種の快感という人もいますが、それはもっぱらインターネットにアクセスしたての初心者の場合であって、遅かれ早かれそんな機械的な快感にはやがて飽きてしまうはずです。けっして誰もがクリックを楽しいと単純に感じているわけではないことを忘れてはなりません。そもそも「ぜひ見てもらいたい。読んでもらいたい」と思っているのなら、相手にクリックという名の「拒否権」を与えることは、ナンセンスではないでしょうか。

その意味でもっともよいのは店の看板から商品の説明、そして注文フォームまですべて1ページにおさめてしまうことです。こうすれば、スクロールの操作だけで必要な情報を必要な順序で確実に相手に読ませることが可能になります。

第8章 — よりいっそうの販売促進のために

動画の効用

以上で「売る」ホームページを制作する上で欠かせない基本的な事柄は一応説明し終わりました。ここでは、それに加えて知っておくと役に立つ販売促進のためのいくつかのヒントを挙げてみましょう。
まずは動画の効用についてです。動画は、うまく使えば販売を促進させる上で一定の効果があります。それは、一種のPOP(Point of Purchase advertising=店頭広告)の役割を果たします。POPは、店頭で客を購買に踏み切らせる働きをしていますが、それと同様に動画もホームページ画面において、客の購買を促進する作用を果たすことができるはずです。

もっとも動画といってもホームページの場合、その画像容量によって、またプラグインソフトの要不要などによってピンからキリまであります。しかし、あまり容量の重いものや特殊なヘルパーアプリケーションがなければ見られないものは避けるべきでしょう。ここではあまり重くないもの、すなわち主にジフアニメなどで作れる簡単な動画をおススメします。

信頼性を高める方法

次に信頼性を高める方法について考えてみましょう。前にもふれたように、オンラインショップでは現在、この信頼性の不足がもっとも大きなネックのひとつとなっています。では、どうしたらホームページの信頼性を増すことができるのでしょうか。とはいえ、残念ながらこれに関しては根本的な解決方法はありません。信頼性というのは最終的にはウエブマスターの事業に対する姿勢そのものが問われる部分であり、ホームページのデザインひとつでどうこうできるものではないからです。

ただ、誠実な企業姿勢をよりアピールすることでいくらか信頼性を増すことはできるかもしれません。その方法としては、まず商品に対するこだわりを店主自らが披露するという手段が考えられます。これは「コピーの書き方」の章でも説明しましたが、商品に対する愛着やこだわりを店主自らがとつとつと訴えかけるようにするのです。もちろん、それは自慢話めいたものではいけません。それではかえって反感を持たれるだけでしょう。あくまでも商品に対する愛情を中心に誠実で控えめな態度で綴っていくのです。そうすれば、「これだけ商品を愛している人ならニセモノを送ってくるようなことはないだろう」と相手に思わせることが可能になります。これは、マニア同士の仲間意識に訴えるやり方で、扱っている商品がマニアックな商品であればあるほど有効です。

また更新をこまめに行うのも信頼感を増すうえで有効です。オンラインショップの場合、客が1回目のアクセスでただちに注文することはそう多くないと思われます。むしろ何度かアクセスして、じっくり検討したすえ、ようやく注文フォームを送るというのが普通ではないでしょうか。その際、こまめに更新してあれば、客のほうもその熱意を感じとり、「このウエブマスター、なかなかがんばっているじゃないか」と好意を持ってくれることが期待されます。また更新をこまめに行うことは、とくにリピーターに対する引き留め策ともなり、顧客に対するアフターフォローとしても有効な手段です。

それから信頼性を高める手段として一番手っ取り早いのは、ウエブマスター本人あるいは責任者の顔写真を掲載することです。これは、相手に親近感を抱かせると同時に企業姿勢に対する信頼の証ともなります。ダイレクトメールの世界でも、レターに責任者の顔写真(および自筆のサイン)があるのとないのとでは、反響にも大きな違いがあることが実証されています。

終わりに — オンラインショップの時代はこれから

インターネットの一時的なブームが去るとともに、このところオンラインショップに対する失望感が広がっています。思ったほど儲からないというのが、その原因のようです。たしかにオンラインショップだけで食っていけるほど儲かっているところは、全体からみればほんのわずかでしょう。しかし、だからといってオンラインショップが割に合わないと結論づけるのはまだ早すぎるのではないでしょうか。私がみるところ、オンラインショップのページは、その多くが素人の域を出ていないように思います。そして素人商売であるということを裏返していえば、そこにはまだ工夫の余地があるということにほかなりません。いくらヴァーチャル市場が画期的なものであったとしても、素人商売が成功するほど甘いものではないはずです。したがってきちんとしたノウハウさえ導入すれば、売上はまだまだ伸びるというのが私の考えです。

そもそもオンラインショップは、一度でも体験された方ならおわかりになると思いますが、本当に便利なものです。自宅にいながらパソコンの操作だけで世界中から欲しい商品が買えるのですから、これはもうデパートが出現した時以上の革命的な出来事といえるでしょう。もっとも現状では、インターネットへのアクセスの難しさや手間、決済上の問題、高い電話料金、さらにパソコン自体の操作性の問題などもあり、使いやすさや手軽さの面では、通販カタログに到底太刀打ちできるものではありません。しかし、こうした問題のほとんどは本質的に技術的な問題であり、技術が進歩すればいずれも解決可能な問題ばかりだということを忘れてはなりません。そしてインターネットの進歩は、1年が7年にも匹敵するといわれるように他のどの分野よりもダイナミックで早いのです。

またオンラインショップには、他にも多くのメリットがあります。その最たるものが、インタラクティブ性(コミュニケーションの双方向性)であることはいうまでもありませんが、ここでは、もうひとつ別のメリットを挙げてみましょう。それは、いわゆる「密室の消費」であることです。一般に人は買い物を楽しむ反面、その姿を人に見られることを嫌う性向があります。「そんな馬鹿な」と反論されるかもしれませんが、これは流通に関わる専門家の間では常識となっている事実です。試しにスーパーのレジに並んでいる人の表情を観察してみてください。子供を除いてほとんどの人がしかめ面とまでいかなくとも、大体において固い表情をしているはずです。もちろん、かれらにしても買い物自体は楽しいと感じているのですが、その姿を人に見られるのは、どこか気恥ずかしさを感じるものなのです。このあたりは自分自身の体験に照らし合わせてみれば、たいていの人がうなずかれるのではないでしょうか。そのため、なかにはわざわざレジの位置が目立たないように工夫しているスーパーもあるほどです。その点、オンラインショップなら、誰の目も気にすることなく自宅にいながら商品を買うことができるのです。そしてこれはオンラインショップの大きな強みといえるでしょう。

さらに現在、インターネットにアクセスしている人たちの層をみると、20代から30代の理科系の男性が中心となっています。これはマーケットとしてみた場合、かなり片寄った市場であり、しかも規模からいってもまだそれほど大きなものではありません。しかし、今後インターネットが一般家庭のすみずみにまで普及するようになれば、そこに生まれるサイバー市場は、今よりずっと大きく、より一般的なものとなることは間違いありません。もっともそれは現実の市場よりかなり細分化された「超分衆」市場であることが予想されますので、現在の肥大化した大企業にとってもうまみのある市場となるかどうかは保証の限りではありません。しかし、少なくとも中小、零細企業や個人にとっては十分に採算の採れる市場であることは容易に想像がつきます。したがってオンラインショップはまさにこれからが本番といえるでしょう。さああなたも勇気と信念を持ってオンラインショップにチャレンジしてみてください!

主な参考文献
『「売る」広告』(デビッド・オグルビー著/松岡茂雄訳/誠文堂新光社/1985)
『ダイレクト・メールDMの正しい使い方・作り方』(深山一郎著/学研/1989)
『テストされた広告法』(ジョン・ケープルス著/殖栗文夫訳/実業之日本社/1954)
『広告コピー概論』(植条則夫著/宣伝会議/1993)

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2016.05.30 Mon
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